エクシードブレイブスは港町を襲撃した部隊を撃破した。 しかしその戦いのさなか、まさかの鎧衣尊人の裏切り。 そしてR・Gは祐一達のかつての研究所での仲間が作り上げたという事実。 そんな驚くべき事実はメンバーを激しく打ちのめした。 特に武、祐一達はショックを受けたことを隠し切れなかった。 霧島研究所に到着しても、その表情には陰りがあり、沈んだ雰囲気は否めなかった。 とりあえずメンバーには待機命令が出された。 皆が皆それぞれの時間を過ごそうとする中、冥夜と純夏は武を探しに行った。 祐一と信哉は秋子に呼ばれ、艦長室で話をするようだ。 一方その頃、武の戦術機を眺めていた、二人の女性。 霧島聖と香月夕呼。 聖は医者、夕呼も物理教師という普通の肩書きを持っていた。 しかし裏では二人とも現存するロボット技術研究の最前線にいる。 聖は主にPTとMSを、夕呼は戦術機のエキスパートだ。 新型の戦術機に関しては二人の合作でもある。 聖はふうとため息をついて 「しかし…彼の目的が私達の技術だったとはな」 「ま、演技であたしたちの前にいたわけじゃなかったみたいだからね… 気づけなくてもしょうがないわ」 だが言葉とは裏腹に夕呼の表情も穏やかではなかった。 研究物を利用されるということは、研究者にとってはあまり喜ばしいことではない。 彼らも馬鹿ではない。盗んだ技術をそのまま利用するなどという 敵に手の内をさらすような真似はすまい。 「とりあえずは、完成間近の二機の仕上げと… 白銀君の戦術機の完成を急がねばな」 聖はバサっと音を立て白衣を羽織ると技術班の元へと歩き出した。 「だけど…吹雪の改良のほうが先かしらねえ…」 夕呼もまたその後を追った。 エクシードブレイブス 第16話 この未来、空に馳せて 「…お二人とも呼ばれた理由はわかりますね?」 「ええ、ゴッドフォースについての説明…ですよね」 祐一と信哉は秋子の問いに重くなりがちな口を開いた。 狂信めいた思考で、仲間たちを虐殺に追いやった研究所での出来事。 それらに起因するのはこのゴッドフォース。 「サイコドライバーについての研究を中心に、奴らは10から17歳くらいの 少年少女を対象に実験を行っていました。内容は…能力の強化。 そして奴らは俺、信哉、鎧衣、そして名前の知らない少女を指して言ったんです。 お前達は選ばれし「ゴッドフォース」を名乗る強念者だと…」 信哉の後に祐一はこうつけたした。 「ま、今だからあいつが鎧衣だってわかりますけど、あの時とは 全然面影が違いましたからね…。おまけに念も隠してたみたいだし」 「なるほど…強念者…とは?」 その続きは再び信哉によって語られる。 「サイコドライバーの中でも、特に念の強い者を差す言葉だそうです」 「わかりました。では二人とあの少年…北川さんと言ったかしら? どういう関係でしょうか?」 その問いには祐一が答える。 「あいつは一年前、久瀬ともう一人謎の少年…。まあ鎧衣なわけですけど 三人で研究所を逃亡したんです。俺達は噂に聞いただけの話しか知りませんが その方法は…皆殺しに近いですよ。手当たり次第に研究者を虐殺し、 シャトルを一機奪って逃亡したんです。俺達とは研究の時間が合わないのか あまり会うことはありませんでしたけど、一度顔をあわせたときに名乗りあったんです」 「では特に親しい間柄ではない…と?」 二人はうなずいて答える。 「そうですか…。わかりました、もういいですよ。 尋問のような聞き方をしてごめんなさいね」 秋子は微笑んで謝罪した。 「いえ、気にしないでください秋子さん」 「そうですよ、当然の疑問ですから」 そういって二人は艦長室を出た。 二人の背を見送ってから秋子は机に手をついてしばし考えた。 (最後の一人は女の子…ということになりますね。 一体…ゴッドフォースとは何を意味する言葉なんでしょう…?) 秋子は少年達に押し付けられた肩書きに理不尽な怒りを感じていた。 そんなもののせいで甥は苦しんだのか。 そんなもののために娘達は戦いに放り込まれたのか。 親として、母として秋子はそれを怒らずにはいられなかった。 そしてそれらから子供たちを守る力のない無力な自分にも。 ――研究所 裏手 (尊人…) 武は一年前、入隊した頃のことを思い出した。 シュミレーターで自分と互角に戦い、その後も幾度となく 勝利と敗北を繰り返し切磋琢磨してきた少年との日々を。 『いやあ〜やっぱタケルは接近戦に強いよねえ』 『高機動戦闘じゃお前のほうが上だろ?』 『…何で簀巻きなんだよ』 『まあそのわけは聞かないでよ』 『クレバー冥夜!』 『…そんなに感激するほどのことかよー』 ガツッ! 手近にあった木に武は拳を打ち込んだ。 痛みはない。 感じられない。 「くそっ!」 ガツッ! ガツッ!! 圧倒的敗北によるものか。騙された、いやそんな次元の問題ではない 彼の接し方に今更気づいた己のふがいなさへか。 どちらにせよ武の心には敗北の二文字しかなかった。 今までならこれほど悔しくもなかったろう。 また超えればいいのだから。再び挑戦し、勝てばいい。 だが今回は違う。尊人は敵として牙をむき、そして武に圧勝した。 機体の性能の差、などと理由をつけることは武には出来なかった。 あれは紛れもない自分自身の敗北。 彼は敗北の理由を自分自身以外に見出す小さい男ではなかった。 何もかも己の不甲斐なさが原因ではないかと武は自らを罰するかのように 拳を打ちつけた。 やがて武の右手が真っ赤に染まりだした時、誰かがその腕を掴んで止めた。 冥夜が武の手首を掴み、純夏は腕にしがみつくようにしていた。 武はその感触にようやく拳を止めた。 「…お前らか」 「タケル、気持ちはわかるがそんなことをしても何もならん」 「そうだよタケルちゃん。うわっ、こんなに血が出て…」 純夏はポケットからハンカチを取り出し武の拳の傷に当てる。 白いハンカチは見る見る真っ赤に染まっていく。 「よせ、汚れるだろ」 「気にしないの」 本人にそう強く言われては反論できず、武は口をつぐんだ。 間の悪い空気が当たりに漂う。 やがて血の止まった傷にバンソーコーが張られる。 出欠箇所はそれほど多くなかった、手に二枚ほど バンソーコーを張るだけで済んだ。 「タケルちゃんらしくないよこんなの。前は負けた時は次は勝つんだって 必死で練習してたのに」 「次の模擬試合の前まで、私や純夏を引っ張りまわして散々訓練に 明け暮れるくらい前向きだったそなたはどこへ行ったのだ?」 二人の目は真摯なまでに武を訴えていた。 自分以上に自分を知る他人を上げろといわれれば、 武はおそらくこの二人の名をあげるだろう。 実の両親よりも、この二人を。 「…俺は…あいつのたくらみを見抜けなかった。 あいつが腹の底で俺達を欺いていることを…。 勝負とかそんなことの前に俺は負けてたんだよ」 武は二人の目から視線をそらして後ろを向いた。 耐えられなかった、まっすぐに訴える二人の視線が。 「違うな」 「違うね」 二人の声はそろっていた。 「タケルは再戦を恐れているだけだ。だから勝負とは関係ないことで自分を すでに敗北者にしておくことであきらめる免罪符を求めているに過ぎん」 「いいわけだよ。タケルちゃんの言ってる事、すっごいかっこ悪い」 武は何も答えない。 いや返せなかった。二人の言うことのほうが正しいからだ。 武は恐れていた。あの圧倒的な力、そしてそれに屈した自分。 再び奴を前にして今度は生きていられるか? いや生死ではない。再び挑み負ける事。死ぬよりも 尊人にかなわないまま終わることを武は恐れていた。 「純夏、もうよい。このような腑抜けに何を言っても通じるまい」 「そうだね。がっかりだよ、私達の知ってるタケルちゃんはさ…」 「「もっとかっこよかったのに」」 二人の足音が去る。 徐々に遠のいていく。 いいのか? あの二人にここまで言わせておいて。 黙っているのか? プライド? 敗北? そんなことより何よりも。 (俺は何のために戦術機に乗った?) 冥夜の誘い。 御剣の行っていたこと。 この世界を覆う現実。 それに屈することで失うもの。 (俺はそれを守りたいから…!) 「待てよ二人とも」 その声に二人は振り返った。 満面の笑顔で。 そこには冥夜が見込み、純夏が慕う熱き少年のりりしい顔が 夕日を背に浮かんでいた。 消えかけた闘志を再びその眼に宿らせ、前以上に強い意志を持った 白銀武の姿。 「悪かったな。お前らの言うとおりだ、俺は怖かったよ。 再びあいつに負けることがな。けど、思い出したよ。 俺が戦う理由を。俺は勝つためだけに戦ってるんじゃないことを」 失いたくない人がいた。 共に戦わねばならない友がいた。 屈するわけにはいかない現実があった。 「生きている限り諦めちゃいけないんだ。 じゃないと何も守れない。ただ失うだけなんてまっぴらだ だから俺は戦術機に乗る。」 夕日の差す裏手で。 夏も近づく日の中。 武は新たな闘志と、再び燃え上がる初心を胸に 戦士として再び立ち上がった。 「それでこそタケルだ。私が見込んだ男だ」 「うん、やっぱりタケルちゃんはそうでないと」 二人の嬉しそうな笑顔が、今の武には少し照れくさかった。 続く
武 「あれ? 俺の新型は?」 局長 「まだ作ってないよ?」 冥夜 「登場はまだ後の方になるらしい」 武 「うそ…」 舞人 「ところで俺の機体…あれのモチーフは何だ?」 局長 「SDガンダム外伝ナイトガンダム物語のバーサルナイトガンダムのリアル」 山彦 「うっわ、なんてマニアックなところから…」 局長 「さすがに顔の部分は見てガンダムとわかるデザインじゃないけど外観はあれ」 つばさ 「や、まんまだったら誰かが本編で突っ込んでるでしょ」 局長 「ちなみに黒騎士は黒いバージョンっていう以外違いはない」 SSのTOPに戻る