――ノアシップ

 現在ノアシップは、ディフェンダーの依頼通り、

 ベクターキャノンを研究している研究所へと向かっていた。

 一方、最前線の状況は依然芳しくはなかった。

 このままでは防衛ラインが突破されるのは時間の問題らしい。

 そこで真那は偵察を兼ねて先発部隊を先行させることにした。

 元々諜報部のマークを中心に、機動力と戦闘力に優れた機体を選出。

 この条件下に合うメンバーを一人一人ピックアップしていく。

 ただ、この戦況の中真那は、

 (はっきりいってこちら側が劣勢ね。何か手を打たなければ

  現状を打破するのは厳しいかもしれない…)

 自分の采配一つで部隊の誰かが死ぬかもしれないと思うと

 真那に普段の余裕は出せなかった。

 だがこれでも一部隊を預かる身だと自身を奮い立たせ、

 「これより名前の呼ばれた人物は出撃準備に入ってください。

  繰り返します…」

 マイクを掴み、その名を呼んだ。

 今、火星攻略作戦が始まる。









 エクシードブレイブス 第31話

 武、奮戦! 迫るバフラムの精鋭!!











 集められたのは、マーク、佐祐理、舞、武達戦術機乗りが呼ばれていた。

 すでに号令の元皆が出撃準備に入り、次々とハッチから出撃している。

 「前線の偵察かー。お前ら悪いけど頼んだぞ、こいつは
  
  それほど戦闘能力は高くないんだ」

 マークはおとぼけた調子で言った。

 その口調に、千鶴が少しカチンと来て

 「ちょっとフォークナーさん、真面目に職務に当たろうって気はないんですか?」

 「真面目も真面目さー。俺は偵察が任務だからな、敵と戦うのが使命じゃない」

 「だからって…!」

 もう少し真面目に、と言いかけた千鶴を、

 「まあまあ委員長、そうかっかすんなよ。ようは適材適所、そう言いたいんだろう?

  フォークナーさん」

 「お、さすが〜 よくわかるな白銀」

 そう言って意気投合する二人だったが、そこへいらないツッコミを入れるものが現れた。

 「…でも本当は違う」

 舞だった。佐祐理は何事かと舞を見る。

 「…本当はマークはユユに釘を刺された」

 「ふぇ? 何に対して?」

 佐祐理の疑問に舞はこう答えた。

 「…ユユがこう言ってた」

 以下回想




 『マーク? 偵察に行くのはいいんだけど…』

 『?』

 『この間見たく大破寸前まで追い込んだら…』

 『…追い込んだら?』

 『…くすくす…』

 『…わかりました…』

 『そうね50%まではカンベンしてあげるから』

 『ありがとう…』


 以下回想終了

 勝利条件:???

 敗北条件:味方の全滅

      マーク機のHPが50%以下になる



 「今何か変な文章がなかったか?」

 武が疑問に思ったが誰もがそれに答えることはなかった。

 触らぬ神にたたりなし。

 「…要はマークはユユが怖い」

 「なるほど…」

 意味ありげな武のなるほどにマークはばつが悪そうに、

 「いや…あいつの目はマジだった。頼むからお前ら俺にだけは被弾しないようにしてくれ」

 マークは今度は本気で懇願していた。

 その哀れな表情におそらく自分たちのわからない恐怖があるのだろうそう思って。

 「努力はするよ」
 
 武だけがそう答えた。



 マーク機の能力のおかげでかなり遠くからの映像も鮮明に移る。

 マークは得た情報を各機に流していた。

 前線は思いのほか苦戦しており、大半がラプターの部隊だったが

 いかんせん数の差がありすぎた。

 絶対数で劣るこちら側は何とか質で対抗せねばならない。

 それに防衛ラインの限界が近づいているのを考えると

 どうやらここで偵察だけで引き返すというわけには行かないようだ。

 「フォークナー、そなたはここで一旦引き返せ。どうやら我らは

  ここで一仕事せねばならぬようだ」

 冥夜の一言に誰もが頷いた。

 だが、マークは、
 
 「悪いが戦況把握して友軍にデータを送るのも俺の仕事だ。

  そいつは聞けねえな」

 普段はちゃらんぽらんなくせにこういうときだけは引かない。
 
 それがマークという男だった。

 「ふう…真面目なのか不真面目なのかどっちかにしてよね」
 
 千鶴が呆れたようにそう言った。

 「それじゃ俺たちはこのまま敵の真横から仕掛けよう。

  切り込みは彩峰と冥夜が行ってくれ。純夏は委員長と一緒に

  友軍側の救護、たまは後方援護射撃、倉田さんたちはその場の判断で
 
  俺は…敵の頭をやる」

 その時誰もが驚いた。

 「ちょ…タケルさん!? いくらなんでも無茶ですよ〜?」

 「…無謀」

 彩峰と壬姫が同時に忠告するが

 「敵は無人機だからな。いくらやっつけても敵の戦力には響かない。

  だが一応現場指揮を取っている奴がいるはずだろ?

  そいつを叩けばある程度は戦局が傾くんじゃないかと思ってさ」

 武の言うことは一理あるがそれにしては無謀だ。

 彼の実力を入れたとしても。

 「…ならば我らは横からの切り込みの後、武の言う頭に向かって進軍し、

  武と合流、武はそれまで一人奮戦という形でどうだ?」

 冥夜がニヤリと笑って発言する。

 武もまた笑みで返す。

 「…わかったそれでいい」

 「ま、状況は常に流してやる。後はその場で臨機応変にやろうぜ」
 
 マークの一言で上手くまとめられ、全員無言のまま配置へと向かった。


 「隊長、間もなく第5部隊が前線を押し切ります」

 「ちっ、たかだか無人機も押さえられんのか、火星軍は」

 歯ごたえのない相手にボルケスはイライラしていた。

 これではせっかく頂いた新型が使えないと。

 ところがそれは思わぬ形でかなえられることになった。

 「た、隊長!」

 「なんだよ、何かあったのか?」

 「中央の第4部隊が突如横から攻撃を受けました。

  コマンダーがやられたようで、指揮系統に乱れが!!」
 
 モニターを監視していたオペレーターの一人が叫んだ。

 「なにい!? どこの馬鹿だ?」

 「機体識別コード完了…地球のアンリミテッドと呼ばれる部隊の

  機体だと思われます!」

 「地球…アンリミテッド…そうか…奴らか!」

 くっくっくとボルケスは歓喜に打ち震えていた。

 地球侵攻の時に受けた屈辱を晴らすチャンス。

 「おい! テンペスト・Rの起動準備をしろ!

  俺自らが打って出る!!」



 「我らの前に立ちふさがるものは…」

 ザン!!

 建御雷が振り下ろした巨大な対艦刀・雷神。

 「この雷神が切り捨てるのみ!!」
 
 冥夜はそう言い放ち次から次へと襲い掛かるラプターたちを

 一刀の元に切り捨てる。

 その一閃は防御に特化したマミーヘッドすら一撃で切り伏せる脅威の斬撃だった。

 「…邪魔」

 対照的に的確な打撃をラプターたちに打ち込み、一機一機確実に落していく金剛。

 間接部の弱いポイント、比較的細い足を回し蹴りでへし折るなど芸が細かい。

 口数とは対照的に彩峰はものすごい手数の多さで相手を圧倒していく。

 建御雷と金剛は丁度背中合わせの形で立っていた。

 すでに周りを包囲されているが、二人に焦りはない。

 むしろ余裕すら感じられる。

 「彩峰、突破するまでにどれくらいかかる?」

 「…ざっと見積もって二分」

 「承知した」

 確認しあうと建御雷と金剛は同時に同じ方向へと動き出した。

 真っ直ぐと敵陣本営のほうへ。

 「…どきなさい…!」

 「邪魔立てするものは容赦はせぬ!!」

 光り輝く体術と、巨大な対艦刀が敵陣の中に閃く一閃を打ち出していく…。



 「やっぱりこの辺が抜け穴だったな」

 マークの索敵能力を元にたくみに敵機のレーダーの合間を抜けて

 武の吹雪はすでに敵陣本営のそばまで来ていた。

 ここまでくれば発見されようがされまいが関係ない。

 吹雪は一機に数機のOFの集まっている本陣へと足を進めた。

 その様子にどうやら敵も気がついたらしく

 「敵襲!? しまった各員非常警戒態勢に…」
 
 「遅いっ!!」

 ダダダダダ!!

 右手のアサルトライフルを放ち、計器類、レーダー、無線機といった

 戦略的要素を含むものを全て破壊していく。

 どうやら母艦はいないらしく、簡易的に組まれた陣営が

 この部隊を指揮しているらしい。

 後残っているのはOFだけである。

 「まとめて相手してやるぜかかってこい!!」
 
 「ほざくな! たかが一機何が出来る!!」

 そう言ってバフラムのOFが動き出す。

 形状はラプターに似ているが、武装がライフルなどの個別の装備を整えているところを見ると

 有人用に改造されているタイプのようだ。

 だが、口上の間に武は吹雪を発進させて

 「もらったぁ!!」

 ザン!

 一瞬で間合いを詰め、一撃の元にラプターを切り伏せた。

 「は、速い!?」

 ズゴアアアアン!!

 爆音と共にラプターは動かなくなった。

 「さあ、次はどいつだ!?」

 武は叫び次の標的に対して目を向ける。

 「ほう…やるではないか。一人でここまで来るとはな…」

 どこからか響く通信。

 武は辺りに目をやりその相手を探す。

 ドカカアアアアア!!

 近くの岩が崩れ、中から出てきたのは見覚えのあるOF。

 「お前は確かボルケス!」
 
 以前見たときは甲板からだったが、あの特徴的なクラゲのような姿は

 忘れようと思っても忘れられない。

 「丁度このテンペスト・Rの性能を試したかったところだ。

  存分に付き合ってもらおうぞ!!」

 相変わらず無数の触手が動いている。

 「上等だ! 今度こそテメエを叩き落してやる!!」
 
 無重力下ならばそれほど不利なく戦える。

 そう判断した武は吹雪をまっすぐテンペストに向けて発進させる。

 ブーストを上手く使い触手を避けつつ、本体目掛けてアサルトライフルを打ち込む。

 ダダダダダダダダダ!!

 そこそこの手ごたえはあるが、やはり大型機となると

 それなりの火力が必要だと武は思った。

 (フォトンバスターは一発きりだしな…)

 無駄には出来ないと武は思い、攻撃を止めて距離を取る。

 射撃系が無理ならば直接戦闘で行くしかない。

 しかしこちらの機動力では本体にたどり着く前に落されるだろう。

 (だったら冥夜たちが来るまで敵の攻撃力を削いでいたほうがいいな)

 武は触手に狙いを変更した。
 
 相手に動きがないので仕掛けにくく、やむを得ず武も停止する。

 (くくく…このテンペスト・Rは以前とは違うのだ…)

 コックピットの中でボルケスが不気味に微笑んだことを

 武は知らないでいた…。

                                    続く


後書き 局長    「…」 佐祐理   「どうかしたんですか?」 局長    「…後書きのネタがない」 舞     「…ダメダメ」 SSのTOPに戻る