〜楽園は何処にある〜
赤い滴と蒼い空



ふと周りを見れば、赤い水溜りができている

そして自分の服を見ると、元は白生地であった上下の服が赤く染まっていた

右手に持つ鎌の刃は、赤い滴がしたたっている以外に肉片が少し付いている

男は果てのない蒼い空を見ている

自分の命を引き換えに、死をもたらす力を手に入れた者。『紅の死神』


何も見えない所に、ひっそりと佇む男

その男の足元には、永遠に動くことがなくなった者が一人倒れている

誰にも気づかれずに命を奪うのを得意とする男

男は、数時間ほど前までは蒼かった空を見ている

闇に混じり、死角から攻撃してくる暗殺者。『漆黒の影』


自分の傍らで幸せそうに寝ている少女を、微笑みながら見ている者

命あるかぎり、守り通すと少女に忠誠の誓いをした

その者は少女の頭を撫でながら、窓を通して日差しを送る蒼い空を見る

最強の用心棒と呼ばれる者。『鬼神の龍』


両手には長い刃を付けた剣

草が生い茂っていた草原は、赤くなっている

かつてそこには、百を越す数の敵がいた

鋭い目つきを宿す少女には、近寄りがたい雰囲気を漂わしている

少女は目つきを和らげ、何もない蒼い空を見上げる

圧倒的な速さで、悪を徹底的に排除する白き戦場の天使。『羽のない殺戮者』


全てを捨てて、今だけを生きる男

泣くことも、笑うこともしなくなり、自分の中にもう一人の自分が存在している

もう一人の自分は感情を持ち、殺すことに喜びを宿している

一人に二人がいる男は、無表情な顔で自分と同じく感情のない蒼い空を見つめている

血も涙もないと呼ばれ、拭いきれない罪を背負う男。『堕獄』



この世界に存在する最強の5人。
今世界は混乱している。人間より遥か昔に存在しているといわれている天敵、魔物との戦争が現在起きている。最強と呼ばれるこの5人は、それぞれの思惑で戦場に訪れる。
誰が誰の味方になるかはわからない。ただわかるのは、かつてないほどの血が流れることだけである。
幸せなんて言葉は似合わないこの世界。憎しみと悲しみが溢れ出ている。
だが、生命である以上。誰しも恋はする。たとえそれが悲恋となろうとも。
今そこにある幸せを掴みたいために、愚かとわかっていても人は恋をしてしまう。

空から降る透明の滴。

すべてを洗い流してしまうかのように、雨は降っている。

本当に何もかもを洗い流していれば、一体どれだけの笑顔が見れるのだろう。

もしかしたら、悲しみや憎しみもなくなり平和が訪れるかもしれない。

だが、現実はそうもいかない。

目に映るものは、血と涙。

地獄絵を思わすような、残酷な世界を映している。

腐敗しているともいえるこの世界を変えようと、命ある者は立ち上がる。

たとえ己の命を失うと理解していても、彼らは立ち止まらない。

楽園というものを掴むために。





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