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戻る 「ボク、あんまり映画見ないから。あ! そんなことより、急がないと始まっちゃうよ」 「そろそろ中に入るか」 「うんっ…」 と、元気よく歩き始めたあゆが、突然凍りついたように動きを止める。 「銅像ごっこか?」 「……」 俺の声にも何の反応も示さずに、体をこわばらせている。 ごろごろごろ…… 「もしかして、また浣腸してたのか?」 「…うぐぅ」 泣きそうな顔で頷く。 「大丈夫だって。もう慣れてるんだろ?」 「……」 ふるふる、と首を振っている。 「さ、行こうか」 固まったままのあゆの手を掴んで、そのままずるずると引きずって行く。 「うぐぅ…やっぱりボクやめるっ!」 「とても気持ちよさそうじゃないか」 「で、でも、今日はグリセリン大目にしてたんだよっ!」 「そりゃ、常用してれば効き目も薄れるな」 「ボク、たくさん入れたからきっと見てる間に漏らしちゃうよっ!」 「大丈夫、大抵こういう場所ではいつもより我慢ができるようになってるんだ」 うぐぅ、と悲鳴を残すあゆを、そのまま映画館の中に引っ張り込んだ。 「ちょと物足りないな」 「…そうだね」 「今度、特大の浣腸器でも買って1g入れてみるか」 「…そうだね」 「あれだけ嫌がってた割には、結構冷静だな?」 「…そうだね」 「……」 「…そうだね」 「って栓してるだろっ!」 キュロットのすそから出ていた紐を握り一気に引き抜く。 「うぐぅ…!」 慌てて、栓を入れなおす。 「…あ、あぶなかったぁ」 「こいつ、完全に肛門をふさいでるな…」 「……」 俺は、客席から悲鳴が上がりそうなタイミングで、もう一度あゆの尻の栓の紐を引っ張ってみる。 「うぐぅ〜!」 客席の悲鳴を聞いて、あゆが悲鳴を上げる。 「お前、思い切りすぼめてるだろ?」 「ひ、ひろげてるもんっ!」 「ずっとこわばらせてるじゃないか」 「こわばらせてるけど、でも、ひろげてるもんっ!」 「どうやって?」 「うぐぅ〜!」 もう一度客席から悲鳴があがって、同じようにあゆも悲鳴を上げる。 客の悲鳴で驚いただけで漏らしそうになり、スリルを味わえるのだから、ある意味才能だと思う。 「……」 俺は栓を引き抜いて、そしてあゆの手の届かない反対側の席に置いた。 「うぐぅ〜、返してよぉ〜」 「折角の浣腸なんだから、せめてこの漏らしそうな雰囲気くらい楽しめ」 「うぐぅ〜! いじわる〜!」 客席から悲鳴が上がる度に、うぐぅ、とか、うぐぅっ、とか、うぐぅ〜、とか言う声が隣から聞こえてくるが、無視する。 あゆはあゆなりに、立派に映画館のスリルを楽しんでいるようだった。 「うぐぅ…」 ぐったりとしたあゆが、ふらふらと映画館から出てくる。 「ボク、へろへろ…」 そりゃ、あれだけ腹の内容物を放出してたら体力も尽きるだろう。 |