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【ゴム】


「二重にしておけば大丈夫だよね」
 ぴっちりとあゆの皮膚にフィットしたゴムが動きに合わせてミチミチと音を立てる。
 そんなに締め付けては先端部分が鬱血するのではないかと名雪は心配になった。
「大丈夫って、あゆちゃんならそんなのしなくても大丈夫だよ」
 だから早く外して、と目で訴える名雪。
 しかし、そんな名雪をあゆは眉を寄せて叱りつけた。
「ダメだよ。バイキンが名雪さんの体に入ったらよくないよ。だから念入りにしておかないと」
「わっ、もういいよ、わたしがするから」
 あゆの手が腰にかかるや否や、名雪は顔を真っ赤にして身をよじりあゆから逃げようとする。
 しかし、今日のあゆはそんな名雪を許さなかった。
 パジャマの裾を掴み、強引に名雪を引き戻す。
 名雪もそのあゆの必死さを感じて観念したのか、それ以上は抵抗するそぶりを見せない。
「えーっと、こうやって……えいっ!」
 後ろから露になった名雪の秘所をまさぐり、狙いを定めたあゆは一気に名雪を貫く。
 そのほうが名雪の負担も一瞬で済むと考えたのだろう。
「きゃっ……」
 背中を弓なりにビクンと震わせ、名雪が短い叫び声を上げた。
「ふう、入ったよ」
 右手で額の汗を拭うあゆ。
「って、名雪さん?」
 ずっと痙攣し続ける名雪を見てあゆは恐る恐る声をかける。
 背中越しのため、名雪の表情は伺えないが、名雪は泣いているようだ。
「あゆちゃん……」
「名雪さん!? 何で泣いてるの? そんなに痛かった?」
 引きつった名雪の声に焦るあゆ。
 無理もない、日常生活ではあゆは名雪にお世話になりっぱなしなのだ。
 だから、せめて今日くらいは名雪に喜んでもらいたいという気持ちが大きかった。
 しかし、あゆの意に反して名雪は苦しんでいる。
 いや、それどころか怒っているようにも見えた。
「あゆちゃん……違うよ」
 名雪は必死に涙を堪えながら、努めて優しい顔をして振り返る。
 しかし、声には明らかに隠しがたい怒りも含まれていた。
 名雪もあゆがどれだけ自分のことを大事に想ってくれているかはよく分かっている。
 今日のことも、恥ずかしかったが、「あゆちゃんなら」とあゆに全てを任した。
 なにより、自分のために一生懸命になってくれている、そんなあゆの気持ちを邪険にしたくなかった。
「うぐぅ……」
 名雪の静かな怒りに押されて、あゆはゴクンと唾を飲んで硬直する。
 また自分の気持ちが空回りして名雪さんに迷惑をかけた。
 あゆの表情からはそんな申し訳ない気持ちがありありと読み取れる。
 名雪はこの顔に弱い。













 名雪は溜息を一つ吐くと、目に涙を浮かべながら笑顔を見せて言った。
「あゆちゃん、お尻の穴はもう一つ後ろ……だよ」
 おぼつかない足取りで立ち上がった名雪の足元に血で桃色に染まった座薬がポトリと落ちる。
 名雪はそれを見て「あーあ」とちょっと残念そうな表情を見せた後……。
 あゆの指サックを外して、自分で新しい座薬を入れなおした。


 そんな風邪の流行ったとある冬の日のこと。





ごめんなさい、騙しSSでした(笑)