| 夜な夜な学校に出没するふたりの剣士をかげながら支えるある少年。彼が守っていたものとは? 前作『もう一つの可能性』の更なるアナザーストーリーですが、前作を知らなくても楽しめます。あと、DNMLを見れない環境でもスクリプトとしての簡易の閲覧が可能です。 はじめは前作『もう一つの可能性』の佐祐理さんの救済が説明不足のままで不満があったので、そこを掘り下げるだけのはずだったのですが、話に肉付けしようとするうちにこうなりました。 どうもキャラがうまく動かなかったのですが、前作では使わなかったKanonの疑問点(あゆの入院費用の出所、何故幼少期のあゆははじめ名字を言わなかったのか? 回想シーンでは出てこなかった「悲しい事があっても自分の都合が……」の台詞の出所、久瀬と佐祐理さんの関係、舞の銃刀法違反、etc…)と様々な社会問題がうまく絡んで話が膨らみました。 ほとんどオリキャラと化した久瀬は名雪の雪うさぎのエピソードに見事にはまり、書いてる自分が驚きました。 確かにやりすぎでしたが… なお、掲示板については…ageで進行してたため学校や舞踏会とは無関係の香具師の目に触れ、荒らされまくってあんなにレスがついていたということで(^^; |
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KANONのシリアス。KanonDNMLブックの超傑作『もう一つの可能性』の外伝的なまた別の視点の物語です。今度は久瀬から見たKanon世界ですね。『傑作』としてますが、実質はかなりギリギリの傑作です。非常に自然な感じに仕上がってる『もう一つの可能性』に比べて、どこか不自然な感じがするので。というのも、前回の『もう一つの可能性』の主人公北川はごく普通の学生だったのに対して、今回の久瀬はやたらに正義漢臭いところがあります。いや、正義漢がいけないということはないのですが、どう考えてもやりすぎです。美化しすぎで、物語だけ素で流すとただの久瀬賛美作品ではないかと思われてもしかたありません。おまけに、舞の設定を表に出しすぎたせいか、現実と幻想紙一重の絶妙なバランスが売りだったKanonの物語がかなり幻想側(オカルト風味)に傾いてしまってます。しかも、某巨大匿名掲示板に関するくだり(そもそも学園の生徒、それも舞踏会に居合わせた生徒の某掲示板閲覧率がそれほど高いとは到底思えない)はさすがに誇張が過ぎるのでは……と思わずにはいられませんでした。 しかし、それらのよくない要素を含んでいるにも関わらず、社会的・人生的なテーマの観点から見ると他に類を見ないくらい濃厚な作品です。某巨大匿名掲示板も社会現象として世界観に持ち込まれたと思うとうまい使われ方です。それに限らず様々な社会問題が小ネタ的に作品各所に散らばっていて考えさせられるのは見事としか言えません。アフォリズム(警句)としてこの作品がもつ重さはかなりのものです。そして、この作品が持つ最大の魅力は、誰も考えもしなかったKanon世界の『真相』を描き出していることでしょう。あなたのまわりでも、こうだ、と認識しているものの真相はもしかしたらまったく違うものかもしれません。あなたはその世界のことをどれだけ知っていますか?(今あなたの見ている世界は絶対の真実ですか?) この作品を見て一度世界を見つめ直してみるのもいいかもしれません。 まあ、『もう一つの可能性』と違ってテーマ性の方が先行し、純粋に物語として読む分にはどこか違和感というか抵抗があるのが難点ですね。ある意味、非常に文学的な作品です。 |