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このSSは『ふたなり(舞ED後の春)』
北川がふたなり、祐一と香里を好きになり、祐一はその想いを受け入れる、という話の続きです。
【北川君の性教育 】
北 川 潤 は ふ た な り で す !!
朝、オレが教室に入るなり目に飛び込んできたのは黒板いっぱいに書かれた謎の文だった。
「ふたなり……? なんだそりゃ」
相沢が首を傾げる。
以下、水瀬も、学年一位の女である美坂ですらその言葉は知らなかった。
辞書を引くが、それにも載っていなかった。
だが、よく判らないが黒板にデカデカと自分の名前が書かれているのは気分悪いのでさっさと消す事にした。
パソコン授業の時間になる。
だが、肝心の教師自体がついこの前パソコンに触れたばかりの超初心者らしく、マウスがなんであるか等と初歩も初歩の事を一所懸命に説明している。
オレは自分のこそ持ってないが、店頭でデモってるマシンでネットくらいできる。
周りの連中も半数はそんなものらしく退屈していた。
ふと黒板の落書きを思い出し、『ふたなり』という単語を検索にかけてみる。
ネットとの接続は遮断なり制限なりされていてもよさそうなものだが、教師たちのほとんどは今説明してる奴同様の超初心者らしく、そういう方向に考えが回らないらしい。
業者が学校側の適当なオーダーに合わせて構築したシステムがそのままになっているようだ。
しばらくの沈黙の後、検索結果が出る。
約7,600件……辞書には載ってなかったが結構Hitするものだな。
Hitしたサイトの説明文を見ると……
CG、小説、同人、汁、エロ、ショタ、スカトロ、爆乳、精液、ぼて腹、肛門拡張、フェチ、鬼畜……
慌ててウィンドウを閉じる。
どうやらエロい単語だったようだ。
心臓が激しく脈打つ。
サイトの内容に思いを馳せてのものではない。
ウィンドウが閉じる寸前に目に入った単語、
『両性具有』
つまり、オレ? 黒板に落書きした奴はオレの体の秘密を知っている!?
知っている奴……親と、相沢? いや、あいつは言いふらすような奴じゃないし、第一、一緒に登校したんだから黒板に書き込む暇などない。
それに、ふたなりという単語に首をかしげていた相沢は演技しているようには見えなかった。
授業が終わる。教室に戻る途中、何やら妙な視線を感じた。オレ同様に検索かけてあの言葉の意味を知ったんだろうか?
「……北川」
相沢が気まずそうに話しかけてくる。
「信じている。だが、ズボンから落ちたナプキン見たのは相沢だけではなかったみたいだな」
「そうかもな、しかし……あんなマニアックな単語を知ってるってどういう奴だ? 俺が誤解したみたいに北川が痔とか女だとか女子トイレの汚物入れを漁る性癖の持ち主である可能性を疑うのが妥当だと思うんだか」
……痔だけでは飽き足らず、そんな事考えてやがったのか。
「Hitしたサイトの傾向から考えると……」
と、その時目に入ったのは典型的なデブオタである斉藤だった。怪しげな同人誌を持ち込んだり同類のキモい奴と理解不能な怪しげな単語を織り交ぜて話す光景がよく目撃された。
問い詰めると、やはり目撃者はこいつだった。こいつはその手のフェチがあるらしく、俺のズボンから落ちたアレを見て真っ先にオレが両性具有であると考えたらしい。
こいつは現実に自分のマニアックなフェチに合致した存在がいる事が嬉しいらしく、目をギラギラさせて倒錯した思いを吐露し始めやがった。
黒板に書き込んだのもこいつで、ああやって騒ぎを引き起こして注目を集め、それをきっかけにしてふたなり……両性具有の美とやらを布教するつもりだったらしい。
相沢がオレの体を見て気持ち悪がるどころか興奮してくれたのは嬉しかったが、このデブオタにそういう目で見られるのはただひたすらに寒気がしたので殴って黙らせた。
相沢と連れションする。
「まずい事になったな」
「ああ、オレと一緒にいたら相沢まで変な目で見られちまうんじゃないか?」
案の定、数名がオレを妙な目で見て何やらひそひそと話している。
「見損なうな。俺は気にしない」
「……ありがとう……って、うわっ!」
尿が出尽くし、さて仕舞おう、というときに突然肩を引っ張られた。
「男女、キモいんだよ。女子便いけよ」
むき出しの股間を見られてしまった。
「やっぱり着いてる」
「でも女のアレもあるのか?」
「肩触った感じでは華奢で女みたいだったな」
「でも女子トイレ行ったら……そっちでもキモがられるな」
慌ててナニを仕舞うとき、そんな言葉と嘲笑が聞こえる。
……くそ、やっぱりこうなるか。
「……お前ら」
相沢が硬く拳を握って連中に向き直る。
「お、北川の味方するってことは、相沢はそういう関係なのか?」
更なる嘲笑が上がる。
殴りかかろうとする相沢を羽交い絞めにする。オレのせいで変な目で見られて、更に乱闘まで起こして自分の立場を危うくする必要なんてない。
後ろに引いた相沢の拳に必死でしがみつくが、今にも振り払われそうだ。連中のいう通りオレは男女であり、本物の男である相沢とは腕力に大きな隔たりがあった。
もう抑えきれない、そう思ったときだった。
「邪魔だ」
冷徹な声と共に、眼鏡の奥に鋭い眼光を秘めた長身の男が連中をかき分け入ってきた。
「お、久瀬じゃねーか、丁度いい」
「……なんだい?」
連中の一人に話しかけられ、久瀬と呼ばれた男は個室に向かう途中で面倒くさそうに向き直る。
「キモいフタナリが男子トイレに入るってのは風紀上まずくないか? 生徒会長さん」
もう一人が続く。
「かといって女子トイレってのも、チンコついてるから問題ありだがな」
そう言って笑う。
ぎりっ……と歯噛みする。
一旦弛緩していた相沢の腕に再び力がこもるのを感じた。
オレたちと連中を交互に見た久瀬は……
「それが事実だとしても、別に問題はない」
そう言って個室の扉を開ける。
「おいおい、問題ないわけないだろ」
すかさず突っ込みが入るが、
「出すものは変わらない。何もプルトニウムや中性子を排泄する訳じゃないんだから、男女両方の特徴を兼ね備えているならどっちのトイレでも構わないだろう」
あっさりとそう答える。
「な、いや、原子炉じゃねーんだから、とにかくこんなキモい奴がこの学校にいるのは問題だろ」
その言葉に久瀬は心底面倒くさそうにため息をつき、
「嗜好は人それぞれだから嫌悪感を催しまう者がいるのは仕方ないかも知れないが、それならプライベートな交友関係を断ればいいだけの話だ。性器がどうなっているかなんてSEXするような関係にでもならない限りどうでもいいことだろう」
全員が硬直する中、久瀬は嘲笑を浮かべながら続ける。
「それとも何かい? 君らは実は……北川君、だっけ? 彼(?)とそういう関係になりたいと? 一連の嫌がらせは屈折した愛情表現かな?」
「なっ……んな訳ねーだろ!」
そう言って連中はあっさり引き上げていった。
「やれやれ」
肩をすくめて改めて個室に入ろうとする久瀬を呼び止める。
「……何だ」
憮然として言う。
「その……ありがとう」
相沢とハモった。
「……静かに落ち着いて用を足したかっただけだ。トイレであんなふうに騒がれては迷惑だ。もういいだろう、漏れそうなんだ」
そう言ってドアを閉めた。
「凄いな」
「……ああ」
オレも相沢も、あまりにも平然とした久瀬の態度にあっけに取られていた。
トイレを出ると……
「……あ」
美坂が気まずそうにたたずんでいたが目が会うとそそくさと立ち去った。
「この際だ、香里にも本当の事伝えた方がいいぞ」
――場所は変わって――
お姉ちゃんが帰ってきた。
それと共に、男の人の声が聞こえる。
私も、お姉ちゃんも、もう子供じゃない。お姉ちゃんが家に呼ぶくらいだから、その男の人がどんな関係なのかくらいわかる。
私がドラマで見て憧れた世界。
一旦あきらめて、取り戻したと思ったら、ある意味では前よりも遠くなってしまった世界。
多くを望むのは贅沢だとは思う。次の誕生日まで生きられないと言われていた私は奇跡的に回復し、健康……といえる体調になっていたのだから。
だが、その奇跡の代償はとても大きなものだった。
ノックの音
「栞? あたし。入っていいかしら? 会わせたい人がいるの」
会わせたい人? さっきの男の人?
激しい怒りを感じた。私へのあてつけなのだろうか? 私はもう、人並みの人生なんて送れない。そんな私に恋人がいる自分を見せ付けるなんて。
でも、妬んではいけない。私のためにお姉ちゃんはたくさんの事を我慢してきた。私が健康になった今こそ、自分の人生を取りもどすチャンスなのだ。恋人が出来たこと、祝福してあげないと。
「……いいよ、入って」
うずくまっていたベッドから立ち上がり、部屋のドアを開く。
そこにいたのは緊張の面持ちのお姉ちゃんと、細身な金髪の男の人と……祐一さん?
「お久しぶり、栞」
「え、あ……はい」
「ごめんな、雪だるま作ってやれなくて。中庭で約束してからそれっきりだったもんな」
「覚えていてくれたんですか、嬉しいです。でも、治ったのは春になってからですから、また冬になったときにお願いします」
約束覚えていてくれたのは嬉しい。前の私なら、そこから更なる進展を期待することができただろう。でも、今の私には望むべくもないことだった。
それを考え、翳った私の顔に気付いたのかお姉ちゃんは辛そうな顔をする。
「なあ、相沢」
さっきの金髪の男の人が目配せする。
「俺の親友……というか、その……とにかく、北川だ」
祐一さんが赤面しながら紹介した。そして、お姉ちゃんも、その北川という人も赤面する。どういう関係なんだろう? どっちがお姉ちゃんの恋人なんだろう?
「とりあえず、その……オレが説明したほうが説得力はあると思うから、ふたりっきりにしてくれないか?」
え? ふたりっきりって? 説明って?
話が見えず動転しているうちに、お姉ちゃんと祐一さんは北川さんを置いて部屋を出て行き、彼の要望どおりふたりっきりになってしまった。
「えっと、はじめまして。君のこと、どこかで見た事あると思ったら、中庭で相沢と会っていたストールの子だったんだな」
お互い、訳がわからないながらもテーブルを挟んで正座して話していた。
話によると、北川さんが中庭に来ていた私を真っ先に見つけ、クラスメイトである祐一さんに教えてあげたのだそうだ。
北川さんがいなかったら、私は中庭で祐一さんと出会い、話をして……、諦めていた治療を再開する決断はできなかったかもしれない。そういう意味では命の恩人といえるだろう。でも……
「あの、説明って……?」
ぶしつけとは思う、でも話をしているうちにある不安が膨れ上がっていた。
「その、美坂……混乱するから名前で呼ばせてもらうけど、栞ちゃんのお姉さんの香里から、君の事で相談された」
やっぱり。
身内に重い病気や障害を持った人がいる場合、生まれてくる子供に遺伝する可能性や世間体から結婚の妨げになる場合がある。
そんな事でダメになるなら、所詮はその程度の絆でしかない……なんて意見もあるだろうが、世の中はそんな奇麗事ではすまないことぐらいわかる。
でも、自分がその元凶である、という現実を突きつけられるのはやっぱり辛い。
「香里にオレのこと告白したら、ぜひとも君に会って話をして安心させてやって欲しいって頼まれたんだ」
安心……? どう言って? 私の体がこうだからといって気にしないと? そんなの信じられない。
「出会って早々何だけど、栞ちゃんも、相沢の事が好きなんだろう?」
「え! な、ななな、何でそんなことが分かるんですか!」
それに、も、って、それはつまり、お姉ちゃんの恋人は祐一さん?
「勇気を出して、気持ち、伝えてみなよ。相沢はそんなことで気持ち悪がったりする奴じゃない」
「そんなこと……」
「大丈夫だって、相沢も、香里も、オレの体見ても気持ち悪がったりしなかったんだから」
体……? 北川さんも健康そうに見えて何らかの病気? それとも酷い怪我でもしてて傷が残ってる? ……でも。
「北川さんがどんな体なのか知りませんが、私の気持ちなんて誰にも……まして男の人に分かるはずありません!」
親切にしてもらっているのに無礼だとは思う。でも、軽々しい気休めによって芽生えた苛立ちはもう抑えきれないものになっていた。
「わ、ちょっと、落ち着いて。オレ、男……とは言えんのだな、これが」
「……え?」
「ま、ちょっと見てみな」
北川さんはそう言って、おもむろに……服を脱ぎ始めた!?
「きゃ! ちょ! ちょっと!」
男の人とふたりっきりなんだから、こんな事態は充分に考えられた。でも私はそういう対象にもなりえない。
そんな自虐的なことを考えながらも逃げようと立ち上がったが、北川さんはドアの側にいるため逃げられない。
恐怖に体が強張り、硬く目を瞑る。
「わ、ちょっと落ち着いて、襲ったりはしないって。とにかく見てくれよ」
そんな言葉と共に、絹擦れの音と何かの布が落ちる音がする。
恐る恐る目を開くと、床には包帯のような布が小さな山を作っていた。
「たはは……やっぱり恥ずかしいな」
北川さんはシャツの前を完全に開き、形のいい奇麗な乳房を見せ付け、赤面していた。
「……酷いです。やっぱり当てつけですか? こんな大きな胸見せるなんて」
そう言ったら北川さんは腹を抱えて笑い始めた。やっぱり酷い。
「はは……は……真っ先に自分のサイズと比較するとは、やっぱり姉妹だな。香里もオレの胸見たら驚くどころか、あたしより小さくてよかった。などと言って安心しやがった」
「えぅー、どうせお姉ちゃんよりも小さいですよ……って、え? あれ? だ、だめぇ!」
慌てて股間を押さえて座り込む。
北川さんの胸を見たことで興奮してしまい、股間に激しい違和感をもたらしていた。
手術を終え、投薬の副作用に耐えて体が本調子になってきたときに、股間の肉芽が体内から露出し、急激な成長を始めていたのだ。
酷い、男の振りしておいていきなりあんなの見せて興奮させて、私をこんなふうにして笑うなんて。
「よかった。大病患って長くない状態だったって聞いたんだけど、治ったんだ。すぐにそうなるくらい元気になれたんだな」
口ぶりはとても優しかった。でも……
「治ってなんかいない……こんなのが生えてくるなんて」
「栞ちゃんの場合は、生まれたときからついてたわけじゃないの?」
「はい……私の病気は染色体の異状によるものらしくて、お医者様の話では元々からだの中にコレが埋もれていて、体が本調子になったことでホルモンバランスが変わって、発達したんだって……」
「そうか、でも、健康面そのものはどうなの? 発熱とか、気分悪いとか?」
「……無いです。だから、変にいじらない方がいいって、もう少し様子見たほうがいいって言われて、投薬も手術もしてくれなくって……」
「やっぱり、そういう判断するだろうな。オレは医者に体いじられるの嫌だから病院行ってないんだけど、状態は似たようなものだろう」
「似たようなものって……?」
さっきから私の目は北川さんの形のいい乳房に釘付けになり、その刺激で股間のアレは固くなり、激しく張って痛みを走らせていたため話がよく飲み込めない。
こんなふうになってしまう自分が恥ずかしく、情けなく、悔しく、そして、こうなるのが判っていて私を刺激するお姉ちゃんの女友達が憎かった。
男言葉で話す男装の麗人の北川さんは、そんなことを考えている私の腕を取って股間に導く。
「え? え? え? ……あれ? こ、これって!?」
薄い生地のズボン越しに伝わる柔らかく暖かい感触は、昔の私の股間のような扁平な形ではなく、ぶよぶよとした塊。私も知りたくもないが知ってしまった細長い突起の形をうかがわせた。
「オレも、女って訳じゃない。栞ちゃんと同じなんだ」
「え……!?」
「信じられないなら見てみるか?」
ズボンのジッパーを下ろしてホックを外す。そこには男物の下着……ブリーフが見える。本物の男性と違ってきちんとウエストとヒップのくびれがあるらしくベルトはしていない。
そのブリーフも下ろすと、その……湯上りのお父さんがパンツを探しながらぶら下げていたもの……よりはひと周りほど小さな突起があった。
先端は皮に覆われた私のと違い、暗めのピンク色をした丸い塊が露出している。
私の場合、コレは女の子としての割れ目を押し広げるように突き出ていた。
北川さんの突起も同様に根元にはひだがあり、それを辿ると下のほうの割れ目に繋がって私と同様にピンク色の断面を覗かせる割れ目があった。
「……きれい」
「あのさ、そう言ってくれるのは嬉しいんだけど、年頃の女の子がそういうことをするのはどうかと思うぞ。見せ付けたオレが言うのもなんだがな」
北川さんの気まずそうな声で我に帰ると、私は北川さんの突起を摘み上げ、股間を凝視していた。
「え? わ! きゃ! 私、そんな!」
慌てて手を放して後ずさった。
「はは、そういうことに興味を抱くのは健康な証拠だよ、それにソコがそんなになって、元気いっぱいじゃないか」
内側からスカートを突き上げていたアレを慌てて抑える。
硬く目を瞑り、気をそらして萎むのを待とうとするが、北川さんの胸やアソコが眼に焼きついてしまって鎮まる気配がない。掌にこれまでに感じた事がないくらいに激しい脈動が伝わってきていた。
「えぅ……収まりません……」
「そこまで興奮してくれてるとは体張った甲斐があったな。そうなったらもう抜かないと収まらないぞ?」
「抜く……?」
「オナニーだ、オナニー。体が健康なら性欲だって出てくるんだから、発散してやらないと大変なことになるぞ?」
「大変な事?」
「何だ? 知らないのか? そもそも、栞ちゃんは射精した事あるのか?」
「……ないです」
な、なんて事を訊くんですか! でも、私はもう女の子とは言えない。股間にこんな物がついている以上、そんな現象が発生する可能性は充分に考えられた。
「栞ちゃんの体にはその機能は無いのかな? 精液が作られて溜まってくるとHなことばかり考えるようになるし、何かの弾みにそうやって元気になったりしやすくなるんだけど」
……心当たりがありすぎた。
ショーツは女性に存在するはずがない股間の突起を収める事など当然ながら考慮されていないため、今の私が穿いたら妙な圧迫感を感じる。そのため下着を履き替えるときコレが大きくなってしまい、気をそらして萎ませるのに苦労していた。
それに、お風呂入るとき、先に入っていたお姉ちゃんが脱いだ下着がかごに入っていて、それを見てあれこれ変な事を想像してしまう事がある。
しかも、最近はそうなる頻度が増えていた。
「あ、あの、それでも無理して我慢してたらどうなります?」
「暴発する。寝てる間にHな夢見たり、起きていても何かの刺激を受けたりして精液が勝手に出てしまう。公衆の面前で元気になったり出してしまったら恥ずかしすぎるし、汚したパンツ洗うときの惨めさは筆舌に尽くしがたいものがあるぞ?」
……それは、恥ずかしすぎる。私が初潮を迎えてお母さんから色々と説明を受けたときよりも怖い。
「……判りました。その、恥ずかしいですけど、オ、オナニーの仕方、教えてくれませんか?」
そう言って服を脱ぎだす。
もちろん裸になる事は恥ずかしいのだが、それ以上に北川さんを憎んでしまった事が恥ずかしかった。
男でも女でもない体であることを告白し、まして、脱いで見せる事がどれほど勇気が要るかは考えればわかる事だった。
それなのに私を安心させるためにそうしてくれた上に、私が北川さんを性欲の対象として見てしまう事を嫌がるどころか健康になった証だと喜んでくれたのに、私は逆恨みしてしまった。
ただ言葉で謝るよりも、行動で示すべきだと思った。
北川さんと同じように、自らをさらけ出す事で。
薄手のセーターを一気に脱いだ後、スカートもホックを外してジッパーを下ろし手を放す。
「きゃ! や、やだ!」
スカートは元気になった私のアレに引っかかって下りなかった。慌てて引き下ろすとアレの先端から擦れた刺激が走ると共に、抑えがなくなる事で中空に突き出て、ぷるん、と揺れる感じがした。
「ぁうっ……!」
刺激により体がのけぞり、勝手に怪しげな声が出てしまった。
まだ先端でくすぶっている刺激を堪えながら、純白で小さなリボンの飾りがついたブラジャーに手をかける。
「北川さんのに比べると小さいんですけど……」
そう言いながら背中のホックをはずすと共に、乳房が重力に引かれる感触を感じた。
屹立したアレで内側から突き上げられた純白のショーツ一枚のみの格好になった私を呆然と見つめる北川さんは……、
シャツの胸を開いて私より大きな乳房をさらけ出し、ズボンとブリーフを太もものあたりまで下げて股間をむき出しにしたままだった。
北川さんが我に帰った後、お互いに見つめあって苦笑したあとでアレに引っかかっている部分を引っ張ってショーツも脱ぐ。
収まるスペースが下着の中になくて窮屈そうにじたばたしていた私のアレは、元気に空中に跳ね上がった。
様々な意味で恥ずかしいけど、一糸まとわぬ姿の開放感と、男性(?)に見せ付ける行為は癖になりそうな快感を伴っていた。
「は、はは……栞ちゃん、結構大胆だな」
北川さんの股間のアレは見る見るうちに大きくなり、上向きに屹立する。私の体を見て興奮してくれたのが嬉しかった。
「あは、これでおあいこです。では、やり方、お願いします」
「わ、わかった。えっと、まずこうやって握って……」
北川さんはそう言って自らの股間に手を伸ばすが、
「あの、加減がわからないんで、私にしてもらえますか?」
腰を突き出す。不安のタガが外れた私は、顔を真っ赤にして戸惑う北川さんを見ているうちにいたずら心が芽生え、こんな大胆な行為に走っていた。
年上なのに私の行動で耳まで真っ赤になって戸惑う北川さんはとても可愛く見える。
ぐびり、と喉を上下させた北川さんは腰を落として私のアレに手を伸ばし、そうっと摘んだ。
「Hな本とかビデオとか、そういうのをオカズっていうんだが、それらを見たりHなこと考えたりしながらこうやって刺激するんだ」
人差し指と中指と親指でそうっとつまみ、上下に動かす。くすぐったいような妙な気持ちよさと共に、にちゃ、といやらしい粘液質の音がした。
「なんだったらオレのコレクション分けてやってもいいけど、今はオレの体で事足りるかな?」
……充分すぎます。
そう言おうとしたが、北川さんは私のおちんちんの先端に親指を当てて転がすようにゆっくりと回して、
「くぁ……!」
強烈な痛みが走り、腰がひけて全身がこわばる。
「あ、ごめん。栞ちゃんにはまだ早かったか」
今度はつまんだ部分を上下に動かした。北川さんの指が私のくびれた部分を撫でると先ほどのくすぐったいような刺激が先端から腰全体にじわりと広がる。
指が下がるとき、その辺りの皮が、ぴん、と張り詰め、北川さんのソレの先端のように暗いピンク色の塊が顔を出す。
だが、ある一点に来ると裂けてしまいそうな痛みが走り、うめき声を出してしまう。
「まだ無理か。何回かこうしていればそのうちオレのみたいに皮が剥けるから、それまではうまく工夫して中を洗うんだな」
たしかに清潔にしないとまずいだろう、だけど工夫といってもよく判らない。お風呂に誘って洗い方も教わろうかな……?
などと考えているうちに、北川さんは皮をあまり引っ張らないように弱めの力で全体をゆっくりとしごいていた。
「今度は痛くない?」
「うあ……ぁ」
先端から腰全体に広がる心地よい刺激に翻弄されて、何だかうまく言葉が出せない。だらしなく開いて閉じる事ができない口から涎がたれるのを感じた。
でも痛くはないので、北川さんを心配させないようにコクコクと頷いてみせる。
「力とか速度とか変化をつけて……」
北川さんが何か言っているのだがよく理解できない。ただひたすらに、この刺激を味わい続けていたい。
両の拳を固く握り刺激を堪える。
何だか腰が勝手に動いている感じがする。私がこうするように頼んだのに、まるで逃げるように腰を引いたり左右によじったり、かと思えば突き出したりしていた。
頭の中が真っ白になって何も考えられなくなる。腰の奥深くから何かの液体が滴り落ちる感覚がして、股間からぬめった感触が広がる。おちんちんの根元で何かが、ぷく、と膨らむ感じがした。そして、おしっこが出るような感覚。
「ぁ……うぁあっ!?」
「うわっ!?」
先端がはじけるような感覚と共に、体中の力がそこから出てしまったような感覚がして立っていられなくなる。
「ふぁ……」
腰が抜けて、ぺたん、と座り込み、そのまま後ろにあったベッドにもたれかかった。
冷静に考えれば、全裸でだらしなく四肢を広げるなんてはしたない格好は一人っきりのときでもできっこない。でも今は何も考えられないし力がちっとも入らない。
「……私……どう……なったんですか……?」
息を荒くしながら、ぼんやりとした焦点をどうにか北川さんに合わせると……
北川さんの顔は粘ついた液体でベトベトになっていた。
「……言い忘れてたけど、その日の体調や興奮の度合いや溜まり具合で、出る量や勢いは変わる。だからティッシュは余裕を持って用意しておくこと」
そう言いながら北川さんは手探りで何かを探していた。
出る……?
ふと視線を下に向けると、北川さんの顔と私のおちんちんは粘液の糸で結ばれていた。
さっきのはじける感覚がしたときに私は射精して、噴出した液体の勢いは予想外だったため北川さんの顔にかかってしまったらしい。
粘液まみれになった北川さんを見ると恥ずかしくなる反面、征服したような気がして背筋がぞくぞくした。
「……って! わ! ご、ごめんなさい!」
「は、ははは……それだけ勢いがあるのは健康の証拠、よきかなよきかな」
北川さんはどうにか探し当てたティッシュで顔を拭きながら、怒ることなく私の健康を喜んでくれました……。
「ま、仕方ないか。初めてなんだから出る感覚なんて判らなかっただろうし」
北川さんにおちんちんを刺激されて放出して、すっごく気持ちよかったんですけど……。
「北川さんの嘘つき、収まらないじゃないですかぁ!」
精液出た……発散したのに私のおちんちんは元気に屹立したままで、顔を拭くために手を動かすたびに揺れる北川さんの乳房を見てますます硬くなった気がする。
「ありゃ、1回出したくらいじゃ満足できないか。何回もできるのは……」
「健康の証拠だとしても恥ずかしすぎますっ!」
激しく脈打つおちんちんを両手で抑え、前かがみになりながら怒鳴る。精液を出してしまったのにHな気持ちが収まらない。
それに、いつの間にか体の奥深くがむずむずと切なくなってきて、股間のぬめった感触が強くなっていた。
そして……北川さんのおちんちんから目が放せない。
私……アレを欲しがっているの!?
「お、栞ちゃんもそうなるか。どっちか一方を刺激してたらもう一方も連動して戦闘体勢になっちまうんだ」
そう言って北川さんはズボンとブリーフを完全に脱ぎベッドに腰掛けた。
「こっち来な。今度は女の子の方も可愛がってやらないと」
股を広げて手招きをした。
そ、それって……。もしかして、その、あの。そ、そんな事……、
でも。
下腹部から切ない感覚が広がり、体が火照ってきた。これを鎮める方法は……、
一歩、右足を出す。
出会ったばかりの人なのに、はしたないとは思う。
一歩、左足を出す。
でも、北川さんは、とてもいい人だ。
一歩、右足を出す。
私を安心させるために全てをさらけ出してくれた。
だらしなく広がったシャツを袖に通したままの両肩に手をかけ、北川さんの体に跨る。
私の事を理解し、色々と教えてくれた。
「え? 栞ちゃん? ちょっと」
硬く屹立した北川さんのおちんちんをつまみ、私の女の子へと導く。
私の初めてを捧げても構わないくらいに、たくさんのものを与えてくれた。
「……あの、オレは嫌じゃないけど、本番は本当に好きな人としたほうがいいんじゃないか?」
「誘っておいて怖気づいたんですか? 私だってすっごく恥ずかしいし怖いのに覚悟決めたんです。恥かかせないでください!」
「……栞ちゃん、結構Hなんだな。オレたちならではのやり方を教えてやろうと思っただけなんだけど」
「……え? やり方って、その……オ、オナニー、ですか?」
「そう。初めては、相沢のために取っときな」
今の笑顔とセリフできゅうんときてしまった。下腹部の切ない感覚が強まる。
北川さん、やっぱりいい人だけど、体がこんなに疼いている状況では意地悪です……。
「ここ、座って、俺に背中向けて」
広げた太ももの間の空間にあるシーツをしわを伸ばすようにぽんぽんと叩く。
よく判らないが指示通りに腰を下ろすと……、
「お尻に俺のが当たるけど、あんまり気にしないで」
そう言って背中から私を抱きしめた。
確かにお尻にぐにぐにと硬いものが当たるが、北川さんはお姉ちゃんより背が高かったので背中全体が柔らかく暖かい感触で包まれて、Hな気持ちが高まるのにお母さんに抱かれるような安らいだ気持ちもした。
「よっ……と、女の子の部分、触るよ?」
後ろから覗き込むように顔をだして、私の股間に手を伸ばした。
「オレの場合はまず胸揉んでるうちにアソコが濡れてくるんだけど……」
「ふわぁ……!」
北川さんの指が私の女の子の部分をさわさわと撫でる。
くすぐったいような……おちんちんのソレとは違うのだが、言葉にするならやはり、くすぐったいとしか言いようのない強烈な刺激が股間から細波のように広がる。
「女の子の部分は、こんなふうに気持ちを高めて濡らしておいたほうが気持ちいいんだ」
そう言って私の目の前で広げた北川さんの手は、粘液の糸を引いていた。
恥ずかしすぎる。だけど抗議しようにも北川さんの手が容赦なく私を可愛がり始め、嬌声しか上げられなくなる。
「指、入れるぞ」
激しい異物感。指だけでもこんなに大きく感じる。まして、おちんちんなんか入ったらどうなるか想像もつかない。
すがるように北川さんの手にしがみついた、その振動が更なる刺激を走らせる。
「こうやって回すようにして……」
指が入り口付近をこね回し、強弱をつけながら出入りする。そして肉がほぐれた頃合を見て徐々に奥まで入り込む。
その辺りの肉からは、くすぐったいような感覚と共に痺れたような刺激が発生して体全体にひろがり、蓄積してゆく。
勝手に女の子の部分が収縮し、北川さんの指の侵入を拒むように、かと思えば逆に逃がさないよう拘束するように締め付けてしまい、その恥ずかしさがさらに自らの欲情を煽ってしまう。
「これまで、こういうことした事は本当にないの?」
「はい……本当に……ないで……す」
「そっか、やっぱり病気で体力落ちてれば性欲なんて出てこないもんな」
入り口に手が強く押し付けられ、奥までまさぐるように指が入る。だけど指の先端が今位置している奥のあたりはさほど刺激を感じない。
と思ったら壁のようなものが指に当たり、下腹の辺りが、ずん、と響くような重い刺激を感じた。
「ここが子宮の入り口。奥のほうはあんまり気持ちよくないだろ?」
「ぇ……あ、はい……」
見抜かれている。さすが、同じ体だけある。
「でも、エロ小説なんかだとここ刺激しながらクリトリスいじると相乗的に気持ちよくなるんだそうだ。だから俺たちの場合はそれに相当する……」
北川さんのもう一方の手が私のおちんちんを掴む。
「くぁっ!」
「あだっ!」
さっきの壁のような部分とおちんちんの先端で、むず痒いような痺れるような刺激が爆発した。それに耐え切れずのけぞってしまう。その時後頭部に痛みも走った……って。
「ぁ……ご、ごめんなさい。体が勝手に……」
「いや、こっちこそごめん。初心者には強烈過ぎた。でもまあ、今はオレたちだけだから体の反応には逆らわなくていい。素直に声出したり動いたりしていいから」
そう言って指を引き抜いてゆく。あの刺激は強すぎて怖いのにまた味わいたい気もする。私、どんどんHになっている、本当に収まるんだろうか?
「そうそう、ついでに……」
抜けかかった指が、くい、と曲がり、おちんちんの根元のあたりを押し上げた。
「ぅあぁっ!?」
指で押された辺りから尾てい骨にかけて痺れたような感覚。それと共に射精するときのような刺激が走り、おちんちんが膨れ上がる感じがした。
「栞ちゃんにもあったか。前立腺って言って、精液の元を作ってためておくんだ。ここも気持ちいいだろう?」
そう言ってまた指を動かして刺激する。さっきの刺激がまた走り、先端の方まで電流のような刺激が走る。
「あ……出ちゃう……!」
「おっと」
刺激がやみ、ゆっくりと指が抜かれて異物感が消失する。指で擦れる刺激も気持ちよかったが、続けてくれないため体の中の火がくすぶったままだった。
「こらこら、そんな怪しく潤んだ目で恨めしそうな顔するな。こうやって指で刺激して気分を高めてから、相手に舐めてもらったりして本番に移るわけだが……」
舐める!? 指でもこんなに気持ちいいのに舌で刺激されたらどうなるんだろう? それに本番……私はどうなってしまうんだろう? 怖い。けど、欲しい。
北川さんの顔をじっと見る。唇が欲しい、そして、全てが欲しい。私を貫いて、中をかき回して欲しい。逆に、私が北川さんを貫き、中を激しくかき回し、突き上げたい。
「こらこらこら! 涎たらすな舌なめずりするな生唾飲み込むな爛々とした目でオレを見るなオレを押し倒すな!」
こつん、と額に軽く拳骨を食らって我に帰る。
「わ……! 私ったら、その、あの」
慌てて飛びのく。
「ここまでしといてなんだけど、健康なのはいいが節度ってものがある。オレはあくまでもオナニーの仕方を教えるだけだ、初めては相沢のために取っとけ」
「えぅ……ごめんなさい……」
欲情に突き動かされ、とんでもない事をしてしまった。
だが、罪の意識で落ち込んでいるのに肉欲の高ぶりは収まらない。すぐそこにいる北川さんの体を激しく求めている。
男性と女性、両方の快楽に浮かれていたが、やはりこの体は疎ましいものだった。
「……ごめん、オレも軽率だった。普通は体の成長に合わせて徐々に性欲が発達するもんだが、栞ちゃんの場合は慣れる暇もなくいきなり旺盛な性欲に晒されたんだもんな。押さえが利かなくなったって仕方ない」
まったくもってその通りで、病気だった頃は常に脱力感が続き、当然ながら性欲などなく、女性としてのオナニーをすることもなかった。
だから、この体の高ぶりに自分を見失っていたようだ。
「それなのにオレの体見せるのは刺激強すぎた。初心者ならエロ本どころか保健体育や美術の教科書とか普通のマンガのちょっとしたお色気シーンでも充分にオカズになるのに」
……確かに、第二次性徴の項目や裸婦像、更には体育の授業のときのクラスメイトの体操服姿を見ただけでもムズムズし、おちんちんが元気になってしまって立ち上がれなくなる事があった。
「おまけに、調子に乗って上級者向けのテクニックまで伝授してしまった。どれもこれも栞ちゃんには早すぎた」
子ども扱いされてるような気もするが、確かに指で内側からいろいろな所を刺激するのは強烈過ぎた。少なくとも今の私には表面を撫でたり簡単に擦るだけの刺激の方が丁度よいような気がする。
「……ほら、自分でしないとオナニーにならないだろ。発散してしまえば落ち着くから」
「はい……」
さっきの体勢に戻り、今度は自分の手を男女両方の性器に当てる。
右手でおちんちんをそうっと握り、上下にゆっくりと動かす。左手を女の子の部分に当てて、割れ目の辺りを撫でる。
北川さんほど上手くは刺激できないけど、やっぱり気持ちいい。北川さんにしてもらうのとはまた違った趣がある。
だが、あんな事をしてしまったばかりなのに節操なく高ぶっていく自分が悲しかった。
「まあ、初めてでなければさ。栞ちゃんさえよければ、その……。栞ちゃんも可愛いし、魅力的だ。そうでなけりゃこうはならないんだから。オレだってしたいの我慢してるんだ」
そう言って北川さんは、また背中から抱きしめてくれた。
背中に柔らかい乳房が押し付けられると共に、お尻が北川さんのおちんちんにつつかれる。北川さんの元気なソレが愛おしく感じられた。
「……はい、ありがとうございます。でも、それって浮気ってことになりません?」
「ん……まあ、そうなるけど、相沢はさ、気にしないって。オレや栞ちゃんがこういう体なら、普通って価値観に合わせても仕方ない、それぞれが同意できるなら……その、乱交ってやつになってもいいんじゃないかってさ。あいつもスケベだよな、全く」
「は、はは……複雑ですけど、悪くない……ですね……」
私の留年で、今では上級生になってしまった天野さんのことを思い出した。
入学式の日に少し話をしただけの私を気にかけてくれていた彼女を、他のクラスメイトとは異なる目で見ていた。
彼女のことを考えたとき胸によぎる気持ちは、祐一さんに対するソレと同じだった。そんな私を異常だと考えていた。
だが乱交という言葉を聞いたとたんに、私や北川さんが、祐一さんや天野さんやお姉ちゃんにサンドイッチにされて、貫いて、貫かれて、北川さんにしてもらったときのような強烈な快感に翻弄される光景が脳裏に浮かんだ。
そして、更なる肉欲の高ぶりを感じた。
こんないやらしい自分にほとほと呆れるが、こんなことしているときだから仕方ない、そう考えて納得しておく。
発散してしまえば落ち着くという言葉を信じ、先ほどの光景をオカズにオナニーを続ける。
勇気を出して、祐一さんと天野さんに気持ちを伝えてみよう。全ては、それからだ。
どうしても奥のほうの切なさが我慢できず、怖いけどゆっくりと指を入れてみる。北川さんにしてもらったときのように痺れるようなくすぐったいような刺激が広がる。
「おっと、ティッシュだ」
おちんちんの先端にかぶせられる。落ちないようにティッシュごと握りなおした。こうすれば周りを汚さずに済むのだろう、さすがは経験者、年季が違う。
「折角だから、こっちもサービスしてやるよ」
両肩から包み込むように抱いていた北川さんの手が一旦引っ込み、わきの下から伸びる。
「ひゃぁう!」
「お? 栞ちゃん、ここ感じるんだ?」
そう言ってわき腹をさわさわと撫でる。
「ぁ……そこ、駄目……」
その辺りはどうも敏感で、病院で心電図とるため吸盤取り付けるとき切ない声を漏らして身をよじってしまい、看護婦さんの失笑を買ってしまう。
「はいはい、ここも相沢に可愛がってもらいな。それより……」
「ぁふう……っ」
乳房全体が手に包まれ、外側から回すようにゆっくりと揉まれていた。
「胸揉むくらいはしてやるよ。オレひとりでする場合、手が股間と胸を行ったり来たりしてせわしなかったんだ。下半身と同時だと凄く気持ちいいだろう?」
「んっ……はっ……はい……でも、小さい……ですよね……」
「でかけりゃいいってもんじゃない。第一、サラシ巻いて誤魔化す身としては羨ましいくらいだ」
確かに、男として生きるなら体型を隠さねばならない。北川さんは北川さんで、胸に対して私以上に切実な悩みを抱えていたのだ。
「大きさより感度と揉み心地だ。ここは気持ちいいか?」
乳首を摘み、小刻みによじっていた。その電流のような刺激に言葉を発する事もままならない。ただひたすらに頷き、私も手の動きを続ける。
「うわ、栞ちゃん、すっげーHな顔してる」
「そんなこと……言う人、嫌い……です」
刺激が全身に回り、時折全身が痙攣するのを感じる。北川さんに体の奥とおちんちんを同時に刺激されたときのように体がのけぞり、北川さんに後頭部で頭突きをしてしまう。
これ以上気持ちよくなったらどうなってしまうのか判らなくて怖い。手の動きを止めたいという気持ちと更なる快感を求める気持ちがぶつかり合う。
手は、まるで独自の意思を持ったかのように動き、私の体を蹂躙し始める。頭に霞がかかったようにぼんやりとしてきて、何も考えられなくなった。
「わ、やべ、栞ちゃんの見てたらオレも……ティッシュティッシュ!」
北川さんの手が離れて、刺激が止んだ乳房から切なさがこみ上げてくる。
「駄目ぇ! 放さないでください!」
全力でわきを締めて北川さんの手を拘束する。その結果、変なところに力が入り、怖くて刺激できなかった所、確か前立腺とか言っていた所を指で思い切り押してしまった。
「ぅ……うぁあっ!?」
「わ、ちょっと待て、手ぇ放せ! このままじゃオレ……ぁうっ!」
体中をうねっていた快感が一気に爆発し、おちんちんの先端もはじけて生暖かい液体で覆われた感触がした。
なぜかお尻や背中にも生暖かい液体の感触が広がるが、それすらも心地いい。
腰がガクガクして体全体に力が入らなくなり、北川さんもろともぐったりと後ろに倒れこんでしまった。
病気だった頃に慢性的に感じていた脱力感が全身に広がるが、今ではそれすらも心地よく感じられるものだった。
ゆっくりと北川さんの手が動く。また、してくれるのかと期待が膨らむが、乳首に触れたとたんに痛みに近い強烈な痺れが走る。今は体中が敏感になりすぎて、刺激するのは駄目らしい。
その腕はそのまま私の体を包み込み、快楽ではじけた体を優しく抱きしめ、興奮を鎮めてくれた。
さすが同性(?)だけあって、私がどうなるか、どうして欲しくなるかを完全に解ってくれていた。
北川さんの言うとおり火照りは収まり、おちんちんも硬く張り詰めた感じがなくなっていく。
「きもち……よかったです……」
「……そうか、よかった。でも、ごめん。背中にかけちゃった」
「え? もしかして、背中のこれって……?」
「仕方ないだろ。くねくね動く栞ちゃんのお尻が気持ちよかったし、栞ちゃんのHな横顔見てたら急にこみ上げてきたからティッシュ取ろうとしたのに、手を放してくれなかったんだから」
「……自業自得……ですか……でも、これでおあいこですね」
「顔と背中じゃ釣り合い取れんが……まあいいか。とにかく起きろ」
脱力しきった体に鞭打って起きると、北川さんが背中を拭いてくれた。
「シャワー浴びないとな。精液ついた所はそのままにしたら後で痒くなる。疲れたからってそのまま寝ちまったら、起きたとき後悔する事になるからな」
「じゃあ、ご一緒しましょう。ついでにおちんちんの洗い方も教えてください」
「……はいはい」
「でもその前に」
そう言って振り向く。
「お礼とおさらいを兼ねて、北川さんのを可愛がらせてくれませんか?」
北川さんも出したばかりなのにおちんちんは元気なままだった。そして北川さんの女の子の部分からも粘液がたくさん漏れ出てシーツを湿らせていた。
「は、はは……お手柔らかに」
一旦は驚きながらも、潤んだ眼をして期待の面持ちで私を見る北川さんはやっぱり可愛く見えた。
北川さんを可愛がった後、裸のままでお風呂に直行し、体洗いながら……、
シーツを汚さないように何かを敷いたほうがいい。できればビニールシートより風呂の保温マットの方が冷たくなくていい、といったノウハウや、エロ本の隠し場所、
更には、屋根裏にとっておきのを隠しておいたら学校行ってる間に大工さんが雨漏り修復の見積りに来て見つかってしまった……といったとても参考になる話をしてくれました……。
一方、祐一と香里(肉体はノーマル)は……、
北川と栞の全てを受け入れ、愛し、満たしてやるための特訓を行っていた。
【香里と祐一の特訓】
「本当にいいのね?」
「ああ、男子に二言はない」
「言ってることは男らしいけど」
香里は大きな注射器を取り出し、円筒の部分からピストンを抜いた。
「あれ? そのヤカンの中のぬるま湯を吸い上げるんじゃないのか?」
「直接注入する方がいい?」
「他のやり方があるのか? ……まあいい、好きにしてくれ」
「安心して、あまり痛くしないから」
「あまり……って、おい」
半透明のゴムチューブを取り出し、一端を円筒のノズルに繋ぐ。そしてもう一端にワセリンを塗った。そこは心なしか黄ばんでいるように見える。
それから、下半身丸出しで仰向けになり、両足を自分の手で掴んで尻を突き出す、いわゆる『まんぐり返し』という情けない体勢をとった俺の菊門にもワセリンが塗られる。
その際に周りを丁寧にマッサージされ、不覚にも心地よさを覚えてしまった。…いや、まあ、ここの刺激で快楽を得られるようにならなければならないわけだが。
円筒にぬるま湯が注がれ、繋がれたチューブの先端から流れ出たらすかさず指を当てて塞ぐ。
「力、抜いてね」
さっきのチューブが菊門に押し当てられ、少しぬるま湯で濡れる感覚と共に痛みが走る。
「痛て! そっとやってくれ!」
「このくらい我慢しなさい、ちゃんとワセリン塗ったし、あらかじめライターで炙って角は丸めてるんだから」
「んなこと言われて……もっ!?」
チューブが、つぷ、と肛門を突き抜け体内に進入した。強烈な異物感、それと共に生暖かい感触が直腸に満ちていく。
「ほらほら相沢君、どんどん入ってくわよ?」
そう言ってチューブが繋がった円筒を俺に突きつけた。
そのとき揺れたチューブが菊門にむず痒い刺激を走らせる。
目盛りが印刷された円筒の中にある水面がゆっくりと下がっていき、それと共に、チューブを入れられるときの痛みとは違った内科的な痛みがじわじわと腹に広がってゆく。
「こ……こんなやり方どうやって知った?」
「栞が病院で手術や検査するときに、こんなふうにしてもらってたのよ。そのときのイルリガートルって器具を再現してみたの。あの子は物心ついた頃からメスやチューブを体中に何回も入れられていたから、こういうことにあまり抵抗なくて」
そう言いながらヤカンを取る。
「むしろ手術の前で不安だからって、あたしの手を掴んで離してくれなくて、浣腸されながらでも色々と話していたの」
ほとんど空になった円筒にぬるま湯を追加した。
「あ、安心して、年頃になったらちゃんと恥ずかしがるようになったから」
「ちゃんと……って、そういう問題か?」
ズズ、とストローで飲み物をすするような音と共に円筒が空になると、菊門にティッシュを当て、それでチューブを挟み、そこで拭くようにしてもう一方の手でチューブを引き抜いてゆく。
抜ける瞬間、菊門から強烈なむず痒さが走って俺の肉棒がピン、と元気に跳ね上がってしまった。
「あらあら、抜けるときは相沢君も気持ちよくなるんだ」
恥ずかしくて何も言えない。
悪戯っぽい笑みを浮かべた香里は、今度は俺の腹を『の』の字を書くようにさすり始めた。
「ふふ、いいな、おちんちん付いてて。あたしにも付いてたら栞を傷つけずに済んだのに」
「え?」
「栞が退院してから、一緒にお風呂入ったのよ。不安を取り除いてやろうと思って。でも、駄目だった」
「どうして?」
「栞のを見て驚いてしまったの。一応は医者から説明されてたんだけど、いざ目の当たりにすると……ね。でも、気持ち悪いと思ったわけじゃないの、栞のおちんちん、可愛いって思ったの、キスしてあげたいとすら思ったの、本当よ」
悲痛な顔で続ける。
「でも、あたしに驚かれたのが栞にはショックで、気持ち悪くなんてないってどんなに弁解しても信じてくれなくて、おまけに、あたしの体見て……おちんちんが元気になってしまったからますます自己嫌悪してしまったの」
「姉妹(?)でも反応するのか、そりゃショックだろうな」
「あたしは別に嫌だとは思わなかったわ。ちょっと複雑だけど、あたしに魅力があるってことなんだろうし。もし、あたしにも付いてたらきっと栞の体見て元気になると思うわ」
「……何だかなぁ」
「元気になるのって、完全にコントロールできる訳じゃないんでしょう? だから、嘘偽りなく伝えられると思うもの、気持ち悪くなんかないって、魅力的だって、気持ちいいって、興奮するって」
「ぐ……気持ちは判るがちょっと待ってくれ、腹が……」
急に腹痛が激化し、限界が近づいてきた。
「あ、ごめんなさい、初めてならこんなものね。その手の小説だったらどこに行きたいかとか何が出そうなのか意地悪く訊いたり、我慢させながらあたしが満足するまで奉仕させたり、浣腸のお礼を言わせたり、
ご主人様とか女王様って呼ばせたり、オムツつけてその中にお漏らしさせたり、お腹とかおちんちん踏んだり蹴ったり、さるぐつわつけたり、全身縛ったり、
お尻に栓をしてバンドで固定して鍵かけて漏らせないようにして苦しませるところだけど、あたしにはそんな趣味ないから安心して。
相沢君が北川君みたいに女の子みたいな姿ならそうしたくなるかもしれないけど、あ、いや、そんなんじゃなくてトイレ行ってきていいわよ」
異様な状況のため香里も冷静さを欠いているのか、妙な事を上ずった声で早口で口走る。
俺にはもう言葉を発する余裕もない。括約筋に全神経を集中しながらズボンを穿き、へっぴり腰でトイレに向かう。
中略
こうしてトイレと香里の部屋を数回往復し、その都度ぬるま湯を注入された。
ぬるま湯で濡れただけの肛門周辺を何回も紙で拭いたため、そこがひりひりする。
そのとき、トイレの近くにある風呂から聞こえてきた北川と栞の和気あいあいとした声に安心した。やはり、北川に任せて正解だった。
時折、妙になまめかしい声が聞こえるのがとても気になるのだが。
同性(?)同士で文字通り乳繰り合っているのだろうか? 覗きたい衝動に駆られるが、香里を待たせてはいけないので我慢する。
最終的には排出される液体は透明になり、体内の掃除が済んだ事を物語っていた。
正直に言うと、自分で望んだ事とはいえ香里にぬるま湯を注入され、更に菊門を見られることに快楽を見出しつつある自分が堪らなく恥ずかしく、悲しかった。
「掃除はもういいわね。じゃあ、ちょっと待ってて、あたしも、ちょっと」
言葉を濁しながら、何かの袋を持った香里は俺と入れ違いに部屋を出て行く。
心なしか顔が青ざめ、脂汗を流しているようにも見えた。異様な行為に気分が悪くなったのだろうか? でも、行為の最中は妙な高揚感を感じていたような気がするのだが。
部屋を見回す、栞に北川を紹介するときにチラリと見た栞の部屋と違い、ぬいぐるみなどはあまりないシンプルな構成だった。
棚に置かれた唯一のぬいぐるみ、小ぶりのテディベアの隣に置かれた写真立ての中にはそれを抱えた幼い栞が微笑んでいた。
それを見ながら、なぜこんな事になったのかと考えを巡らせた。
発端は……北川の希望についての話だった。
北川に秘密を打ち明けられたときの、入れる方と入れられる方どちらが希望かという俺の問いに対する、両方という答え。
それは香里に入れて俺に入れられたい、という意味なのか、それとも俺にも入れて香里からも入れられたいという意味なのか? と、ふと疑問に思った。
そうする方法がないわけではないのだ。
北川が栞に性教育(?)を施している間、香里とそんな話をしていた。
黒板の騒ぎが発端で香里に告白し、そのまま勢いに任せてなし崩し的に俺と香里とで北川をサンドイッチにして抱き、ひとつになったときの光景が脳裏に浮かぶ。
互いに乳房をすり合わせながら北川の男性の部分で貫かれる香里と、香里だけではなく俺にも背中から乳房を揉まれ、女性の部分を貫かれる北川のふたりは破瓜の痛みに顔をしかめながらも歓喜の笑みを浮かべていた。
自分の体を捧げ、相手の全てを受け入れ、精を優しく搾り取ってやる行為はとても尊いものに思えた。
(出すだけの俺より断然気持ちよさそうに思えたことを否定はしない)
そして、俺の体にはそうするための器官が備わっていないにもかかわらず、北川にそうしてやりたいという想いが芽生えていた。栞も同様の体だと聞いたとき、彼女にもそうしてやりたいと思い始めていた。
香里に勇気を出してそう話したとき、彼女は引くどころかむしろ嬉々として協力を申し出た。
何でも、男がそうするには事前に充分な訓練が必要らしい。
言っては何だが、北川の戦闘体勢のアレより太いのを出した事はいくらでもあるが、切れたことはない。
だが、出すのと入れるのとでは負担が全然違う……とのこと。こうして、香里の特訓を受ける事になったのだ。
実際、香里に挿入されたチューブの異物感は相当なものだった。それよりもはるかに太い北川のアレを受け入れる自信はなくなっていた。
「……お待たせ」
赤面した香里が戻ってきた。机の引き出しへと向かう香里は、心なしか歩き方がぎこちなく見える。
「じゃ、続きするわね。お尻出して」
何を取り出したのか見るまもなく、また下半身丸出しの情けないまんぐり返しの体勢を取らされる。
「ゆっくりと息吐いててね、そうすればお尻が緩むから痛くないの。逆に息吸ってたら締まってしまうから気をつけて」
「わ、わかった……」
ゆっくりと呼吸する。実際、それに合わせて緩んだり締まったりするのか菊門に当てられた香里の指の感触が変化していた。
「入れるわね。ちゃんと爪切ってヤスリもかけてあるから安心して」
「はあ……ぅあぁ!?」
温かく弾力のあるものが進入し、痛みと異物感、そして便意のような刺激をもたらした。ぬめった感覚と共にそれは動き回り、出し入れされて直腸内にぬるぬるとした物……恐らくはさっきのワセリンが塗りこめられる。
入り口近辺のむず痒い刺激と共に、足が勝手に跳ね上がるが香里はそれを見越しているのか上手く押さえつけていた。
「お尻は女の子のあそこと違ってHな気持ちになっても濡れたりしないから、こうやって滑りをよくしておかないとダメなの」
香里は掌を上に向け、肉棒の根元のあたりを撫であげた。
「ぉうっ!」
根元から先端にかけて失禁するような刺激がじわりと走り、肉棒が膨れ上がる。
「あら?」
もう一度指が、くい、と曲がる。
「うくっ……!」
さっきの刺激がまた走り、体が強張る。
「よかった、相沢君もお尻で気持ちよくなれるのね。北川君も栞も喜ぶわよ、きっと」
どうやらさっきの場所が前立腺って奴らしい。話に聞いていた前立腺マッサージは男としての尊厳を打ち砕く破壊力と快楽を伴っていた。
「北川君も、女の子の部分を相沢君に突かれるたびにあたしの中のおちんちんをビクビクって震わせてて、さっきの相沢君みたいに切なそうな顔してたわ」
「……そっか、両性具有なら前立腺をそっちから刺激できるんだな」
全く同じという訳ではないのだろうが、感覚の共有ができるのは嬉しく思えた。
「もう少し続けてみるわね」
小休止していた指が再び暴れだし、出し入れして内壁をこね回すたびに、肉棒に痺れるような刺激が走ったり排便のような怪しげな快感が発生する。
これまでに経験した事がないくらいに肉棒が硬く屹立して激しく脈打ち、根元からせりあがるものを感じるが必死で堪える。
「先っぽがじわって濡れてきてるわね、無理しないで思いっきり出していいわ、なんだったら飲んであげるから。根元をバンドで縛って出せないようにして苦しませる趣味はないから安心して」
そう言うなり俺の肉棒を口に含む。しかし期待してしまった舌の感触や吸い出す刺激はない。その代わりに俺の体内に入ったままの指の動きが更に激しくなる。
あくまでも尻からの刺激で射精させるつもりらしい。
尻で絶頂を迎える事に男の尊厳は悲鳴を上げるが、理性の抵抗をあざ笑うかのように肉体は正直に高みに上り詰めていく。
そして、ついに我慢の限界を迎え、直腸の蕩けるような感覚と共に肉棒が香里の温かい口腔内で弾けた。
全身に脱力感が広がり、頭の中が真っ白になって何も判らなくなる。だが、余韻に浸っている間もなく直腸が引き出されるような感触と共に指が引き抜かれる。何もなくなった直腸内からはとてつもない喪失感を感じた。
「んくっ……苦っ。たくさん出たわね、そんなに気持ちよかった? って、そんな物欲しそうな顔しないで、もっと可愛がってあげるから」
悪戯っぽい笑みを浮かべた香里は引き出しに向かい、何かを探し始める。
俺はいつの間にか尻に更なる刺激を求めていた事に気付き、愕然としていた。
「安心して、お尻で気持ちよくなったからって軽蔑しないから。あたしのテクニックでイッてくれて、なんか嬉しい」
フォローのつもりなのだろうけど、その言葉は俺の恥辱を煽るだけだった。
そして、香里は太さが異なるいくつかの半透明の棒状の物体を取り出す。
その中の一つがフローリングの床に落ち、鈍い音がした。どうやら材質はゴムのように弾力のあるものらしい。その棒は先端が丸く膨らんでいて俺の股間にある肉棒を連想させた。
「ま、まさか、それを俺の尻に入れるのか?」
「そうよ。安心して、一番細いのなら指を一回り太くした程度だから」
怪しげな目をしてゴムの棒を舐めながら言う。
香里の唾液で濡れたゴムの棒が菊門に当てられるが、そこから先に進む事はない。体内が切なくなり、俺は恐怖を抱きながらもその棒に貫かれる事を渇望している事に気付く。
自分から体を動かし、受け入れようとする衝動を必死で堪えるが香里はすっかりお見通しらしく、またも悪戯っぽい笑みを浮かべていた。それは決して嘲笑の笑みではなく、むしろ温かく見守るような笑みであったが、それすらも俺の恥辱を煽った。
「何が欲しいかなんて聞いたりしないから安心して。さ、息吐いてね」
力が込められたゴムの棒は俺の肛門をあっさりと貫き、尻の喪失感を満たしてゆく。先端の一番太い部分が通り抜けた感覚は痛みではなくむず痒い快楽であり、肉棒が再び硬く屹立した。
「あらあら、まだ先っぽだけで前立腺のところまで入ってないわよ? 純粋にお尻で気持ちよくなれるのね。おちんちんって本当に便利、気持ちいいって素直に伝えられるもの」
奥まで入れず、入り口付近で小刻みに抜き挿しし、時には菊門を支点に円を描くように回して激しい快楽を生み出してゆく。
「この棒に慣れたらもっと太いのが入るようになるわ。そしていずれは栞や北川君のも受け入れられるようになるから」
「な、なあ、香里、何で尻の事こんなに詳しいんだ? それに、何でこんなもの持っている?」
男として恥ずべき種類の快楽と、本来は出るだけの場所からの刺激による腹部の張った感覚から目をそらすように冷静に尋ねた。
香里の肩がビク! と跳ね上がり、俺の菊門に不意打ちの刺激をもたらす。
しばらくの沈黙の後に抜き挿しや回転を再開しながら口を開く。
「あたし、前々から北川君のお尻が可愛いって思ってたの」
「……へ?」
「強引に押し倒して、貫いてやりたいって思ってしまったの。あたしにはおちんちんないのに変な話よね」
「……もしかして、香里って昔の栞みたいに潜在的な両性具有なんじゃないのか?」
「そうかも。それで、自分は異常だと思って、でもその妄想が頭から離れなくって。自分の欲望がどれだけ異常なのかと自覚するためにその手の小説読んだり通販でそっち系統の器具を取り寄せたけど欲望は膨れ上がるばかりで」
香里は俯いていたが、潤んだ瞳で『きっ』と俺を見た。
「でも北川君、裸になったら女の子みたいな体型なんだもの、お尻をどうにかしたいって考えても不思議はないわ!」
「……だからって、女がそう考えるのはどうかと思うが」
「相沢君が言ったことでしょう? 普通って価値観にこだわっても仕方ないって」
「……まあ、そうだけど」
「だからってお尻の拡張させてくださいなんて言うのは身勝手だし、北川君に苦しい思いはさせたくないから、まずは自分で試して痛くないコツを掴んでおこうと思って」
「浣腸とかいろんな作業が妙に手馴れていたのはもしかして……」
真っ赤になりながらコク、と頷く。
「じゃあ、俺の尻に入れたチューブや棒の透明なゴムが少し黄ばんでたのって……」
「言わないでー!!」
俺の胸板をポカポカと殴る。こんな事自白しておいて、これ以上恥ずかしがっても仕方ないと思うのだが。乙女心は複雑だ。
だが、殴るために俺にのしかかったときに香里は顔をしかめた。
「え? もしかして」
「……うん、何回もしてたから浣腸は相沢君より我慢できるし、太いのが入るの」
スカートを捲り上げる。チラリと見えた尻に下着はなく、色白の奇麗な地肌がむき出しであった。
そして、ノーパンの尻に手を当て、いきむ。
「見て、後もう少しで北川君のも入るようになるわ」
俺の前に差し出した香里の手にはかすかに黄ばんだ半透明のゴムの棒が握られ、湯気を上げていた。
「た、確かに北川のよりちょっと細いな……」
香里の予想だにしなかったマニアックな性癖を突きつけられ、圧倒されていた。
「ああ……もう、我慢できない……!」
上ずった声でそう言い、引き出しをまさぐり、皮でできたTバックのパンツのようなものを取り出した。
そのパンツは股間にあたる部分の内外に一本づつ細長い突起が付いていた。その突起の大きさ、そして先端が丸くくびれた形状は男のソレを連想させる。
「ま、まさか……」
「そうよ、あたしのここの始めては北川君にあげる事ができたから、もうコレを着けられるわ」
そう言って、パンツの内側に向かった突起の先端を女性の部分に当て、ゆっくりと穿いた。
「ん、ふぅ……、ふふ、北川君や栞みたいに、おちんちん付いた感じ」
怪しげな笑みを浮かべ、股間から屹立した半透明のゴム製の棒を男がオナニーをするかのようにしごく。
「ま、待てよ、そんなのいきなりは入らないんじゃないか?」
その棒の太さは北川のソレと同じくらいだ。
今俺の中に入れられているソレは指を一回り太くした程度だが、これでも今の俺には限界だった。
「安心して、これは着脱式で別なものと交換できる優れものなの」
そう言って股間から屹立した棒を数回ひねるとあっさりと外れた。
「相沢君の前の方の初めては北川君にあげられたんだから、こっちの初めてはあたしが貰ってもいいわよね? ね?」
爛爛とした目をした香里は上ずった声でそう言って、俺の尻からゴムの棒を一気に引き抜く。
「うぁっ! な、何を……」
悲しい事に、またも尻に喪失感を感じてしまっている悲しみを堪え、尋ねる。
「この太さなら大丈夫なのよね、だから、これをつければ……」
俺の体温で見事に湯気を立てている細目の棒を股間のアタッチメントにあてがい、ひねると固定され、さっきまで俺の体を貫いていたソレが香里の股間から屹立する形となった。
「……へ、へい、ケツかも〜ん」
突起が生えた腰を突き出した香里は何かの真似なのか妙に陽気な声で言い、ぎこちない笑みを浮かべたままウインクして、くいくいと招くように指を動かしていた。
緊張をほぐそうとしているつもりなのだろうか?
そして、入るものは変わらないはずなのに、香里の手で挿入されるのではなく股間から屹立したもので貫かれる事に妙な興奮を催してしまっている自分を発見したのだった。
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