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このSSは『ふたなり(北川君の性教育)』
の中間を描いたものです。
具体的に言うとこのあたりの場所変更の途中(ぉ)






     【ふた北川カミングアウト】



 北川がCLANNADとプリントされたトレーナーを脱ぎ、次いでTシャツも脱いでゆく。
 そこに現れた華奢な体、巻かれたサラシに香里は絶句していた。
 ここは北川邸。
 あの騒ぎがきっかけで、香里にも秘密を打ち明ける事になったのだ。
 サラシも解かれてゆくにつれ、すき間から柔らかいものがはみ出して自己主張を始めていく。その様を香里は呆然と見ていた。
 そして露になった北川の胸には、俺の手で掴みやすい程々の大きさの、ふっくらとした膨らみがふたつついていた。
「オレ、こういう体なんだ」
 俺のときとは違い、真正面から香里の目を見据えて言う。
 あの時と同様に不安ではあるが、俺という理解者を得た事が北川の支えになっているようだ。
 香里は呆然としたままだった。無理もない、男だと思っていた友人の胸にこんな物がついているのだ。
 そして香里はしばしの沈黙の後……
「あたしより小さくてよかった」
 頭痛がしてきた。開口一番に言うことがそれか?
「……え? あ、その、あの、北川君って女の子? それじゃ、あたし同性愛者だったの!?」
 香里は安堵の息を吐いたと思ったら、動転して早口で喋る。
 やはり女……男装の麗人だったと考えるだろうな。
 ……って、香里の最後の台詞は?
「よかったな、北川、香里。めでたく両想いだ」
 ふたりの肩に手を回し、抱き寄せてやる。
「え? ちょっと、りょ、両想いって?」
「ほら、北川、お前の口から言ってやれよ」
「ん? あ、ああ」
 北川は一旦深呼吸して、改めて口を開く。
「女ってわけじゃない、だけど男とも言えないんだ。オレ、小さい頃はミニカー集めたりするのが好きだったけど、女の子に混じってままごとや人形遊びする事もよくあって、
男も女も節操なく好きになることがあって、自分でも変だ変だと思ってたら中学上がる頃から胸が膨らんできて……保健体育で習った第2次性徴、両方とも始まっちまった」
「えっ……? りょ、両方って」
「半陰陽って奴らしい。オレは、心も体も男と女が入り混じっている」
 あれから俺も色々と調べてみた。
 男女の性を決める染色体やホルモンの分泌、その作用に異常をきたし、本来の性別とは逆、または男女の中間で生まれてくる人。
 精神面でも育てられた性別に関係なく『男』『女』『どちらでもない』と、人それぞれ多様に自らの性を認識する。
 北川の場合、男児として養育されたが精神的には男女の中間らしい。
 将来、体や精神がどちらの性に近い状態に発育し、その上で本人がどちらを選んでもいいようにと考え、男女どちらでも使える潤という名が付けられたようだ。


「男は相沢が好きだ。そして女は……」
 そう言って、あの時俺にしたように香里の手を取り、自分の胸に当てる。
 そこにある激しい鼓動に香里は更に驚く。
「美坂、お前が好きなんだ」
「え? えぇっ!?」
「こんなオレだけど、それでもお前が好きなんだ。どう受け取ってもらっても構わない、でも、オレのこと、知っておいて欲しい」
 香里の目を見据え、真剣に告げる。
「北川……君……」
 沈黙が続く。
 そう簡単に受け入れられる話ではない。北川が危惧したように、嫌悪される可能性だってあるのだ。
 香里は、男女と馬鹿にした連中とは違う、そう信じている。だが、もしかしたら……。その考えを捨てきれない自分が情けなかった。
 一瞬にも、途方もなく長い時間にも思える沈黙の後、香里は一歩前に進み、胸に当たった手とは逆の手を北川の頬に添える。
「……あは、男でも女でもあるのね。言われてみれば北川君の顔ってそんな感じ。だったら、ある意味ではあたし、同性愛で間違いないのね」
 少々戸惑いながらも、それでも笑顔で言う。
 どうやら香里は、真相を知っても北川に対して抱いていた好意に揺らぎはないようだ。
 よかった。俺も、香里も、北川を受け入れる事ができて。
 泣きながら香里の胸に顔を埋めた北川を、俺も抱きしめてやる。
 ある意味では同性愛、だがある意味では異性愛。ノーマル……とは言い難いが、それでも自分の気持ちに素直になるべきだ。


 しばらくの抱擁ののち、香里がおずおずと口を開く。
「あの、北川君……も、そういう体ってことは、ついてるの? アレ」
 北川の下半身に目をやる。
 アレ……つまり、男のアレの事だろう。まあ、気になって当然だわな。
 しかし、香里が口にした『も』という接続詞が非常に気になる。
「……ついてる。相沢と連れションだってしてたんだから」
「えっと、北川君のって、どうなってるの?」
 うわ、直球。
 まあ、俺も興味がないわけではない。
 あの時はズボン越しに俺のとコンニチワしてしまっただけで、直に見たことはなかった。
「……み、見てみるか?」
 俺も香里も、唾を飲み込みながら頷いてしまった。
 さすがに胸と下半身では羞恥のレベルが段違いなためか長いあいだ躊躇していたが、やがて意を決してズボンのジッパーに手をかける。
 ズボンが下がるとブリーフが現れ、股間は俺と同様にもっこりと膨らんでいた。
 にもかかわらず、腰回りのラインは丸みを帯びた女性的なものだった。
 深呼吸を繰り返した後、ブリーフも下げる。
 そこには、大した物ではないとか言いながら、俺のと同じくらいの大きさの突起があった。
「えっと……その向こうに、女のがあるのか?」
「ああ、立ったままじゃ見えづらいよな」
 北川はブリーフから片足を抜いて座りこみ、ゆっくりと股をM字型に広げた。固く目を瞑って羞恥を堪え、股間に手をやり自分の肉棒を摘みあげる。


 そこは、洋物無修正のエロ本に出てた巨乳の金髪女の黒ずんでぱっくり開いたアレとは違って、ぴっちりと合わさった何だか可愛い感じになっていて、割れ目の上部、クリトリスがある辺りを内部から押し広げるように肉棒が突き出ていた。
「女の美坂から見て、オレの、どう……なのかな」
 もう一方の手をそろそろと伸ばし、女性の部分を広げる。
 綺麗なサーモンピンクの割れ目の中では、小さなひだが呼吸に合わせてかすかに蠢いていた。
 四つんばいになり、そこをしばらく凝視していた香里は……
「自分のはよく見たことないんだけど、その、あの、お、おちんちん……以外は、穴とか、あたしと同じみたい」
 そう診察した。
 女である香里がそう言うのなら、そういうことなのだろう。
「あら、相沢君まで座り込んでどうしたの?」
 きょとんとした香里。
 あんなものを見て立ってしまい立っていられなかった。
「……あっ。え、えっと、オレ、もういいか?」
 なんだか切羽詰まった感じの北川の問いにコクコクと頷く。
 羞恥に耐えられなくなった北川は、広げた股を慌てて閉じて両手で押さえ、足が腰の両脇に向かい腰と内腿が床に密着したいわゆる女座りになる。
 骨格の問題で男にはできないはずの座り方、本当に北川は男でもあり女でもあるんだな。
「あ、あの、あたしが見た感じでは両方とも見事についてるけど、機能はどうなのかしら?」
「さっき言ったろ? 男と女、両方の第2次性徴を迎えちまったって。だけど、その……」
 そう言って俯く。
 その……。の先を俺は察してしまった。


 北川の話では、生理はちゃんとあるそうだ。
 そして、前に抱き合ったときに、俺のとコンニチワしてしまった固い突起。
 入れる方と入れられる方どちらが希望か? という俺の問いに対する、両方という答え。
 北川の体は男女両方とも機能していて、性欲も両方ともあるようだ。
 だが。
 半陰陽について書かれた本には、生殖能力を持たないものも少なくないと書かれていた。
 両性具有というより両性具無と言うべきであり、性器は男としても女としても中途半端に構成され、正常に機能することはまずないという。
 欲求があっても、北川の体はその行為に耐えられるのか。それを考えてしまい、お互いにそっちの話題にあれ以上触れることはできなかった。
 香里も察してしまったのかしばらくの沈黙の後、部屋を出て行った。
 俺たちには引き止めることなどできなかった。
「やっぱり、恋愛とアレは切っても切れない問題だもんな」
 寂しげな顔で言う北川。
 だからこそ、俺や香里への告白は普通の男女の告白とは比べようのない勇気を必要としたのだろう。
 北川の気持ちを受け入れた香里も、いざ現物を目の当たりにして考えが変わってしまったのかもしれない。
 久瀬の言う通り、嫌悪感を催してしまう者がいるのは仕方ない。
 だが、それが交友関係を望む相手だとしたらあまりにも辛すぎる。


 まして、現時点ではともかく、いずれはSEXするような関係へ発展することを期待していないと言ったら嘘になる。
 だから、性器の状態は重大な問題だった。
 北川は憂いに満ちた顔で、閉ざされたドアを見る。
 閉じられたドアが、隔てられた香里との関係の象徴に思えた。
 それにしても、いい加減服着たらどうだ。片足にパンツを通したままのほとんど全裸なその格好で、その座り方で、トドメに胸を片手で抱きかかえる姿は凶悪すぎる。
 目をそらすべきなのか、むしろ正面から見てやるべきなのか。
 どうしてもチラチラと見てしまう北川の体。
 全体的に骨太ではあるものの、柔らかい曲線で構成された体型は女体にしか見えない。
「北川、どんな事があっても、俺はお前の傍にいる」
 背中から抱きしめてやる。
 柔らかく、華奢な体。
 こいつが背負ったものを少しでも分かち合ってやりたかった。
 俺の腕に北川の手が添えられる。そして、温かい液体で濡れるのを感じた。


 こいつの肩……こんなに細かったんだな。
 抱きしめる腕に力を込める。
 この細い肩で背負ったもの。
 これからも、恋愛に限らず様々な拒絶が北川を待ち構えていると思う。
 でも、もうお前はひとりじゃない。俺も一緒に背負ってやる。支えてやる。
 そんな決意と共に、顔を北川の頬に摺り寄せる。

 しばらくそうしていたら、正面のドアが開いた。
「抜け駆けは無しよ、相沢君」
 少々息を荒くして顔を赤らめた香里が仁王立ちになっていた。
「抜け駆けって、香里、お前、出て行ったんじゃなかったのか?」
「見損なわないで、トイレ行ってただけよ」
 のしのしと歩み寄ってくる。殴られるのかなどと思っていたら、無理矢理に北川から引き離され、俺だけ向こうを向かされた。
「北川君、女の子の部分、ちょっと触ってみていい?」
「……へ?」
 背後から、何やら物凄い会話が聞こえてきた。
「お願い、どうしても確かめたいことがあるの」
「わ、わかった。って、うわ! ……ぁ」
 了解の後に続く驚きの声、その後に続く切なげに漏れる息。
 畳が擦れる音がした。抵抗しているのか、そのつもりがなくても勝手に体が動いてしまうのか。
「あら? もう濡れてる」
「わ! 手ぇ広げて糸引いてるの見せつけるな! は、恥ずかしい!」
 そうか、濡れるのか、そっちの機能もちゃんとあるみたいだな。それなら……っておい。
「あは、北川君、あたしや相沢君に見せてるうちに興奮しちゃった?」
「うっ……!」
 図星だったのか北川は沈黙する。
 どうやら、北川は北川でそっちの事情で立つに立てなかったらしい。
「指、入れるわね。我慢してね」
「え? わ! ちょっと、うぉっ!? んくぅ……っ」
 げ、何やら凄い事おっ始めやがった。何考えてるんだ?
「ふふっ、北川君もこういうことするの?」
「んぁっ……、そ、そりゃ、その、チンコとは違った気持ちよさがあって」
「いいな、両方あって。それじゃ、おちんちんはどう気持ちいいのかしら?」
「ど、どうと言われても……」
 両方あるんなら、それぞれの感覚を比較して男にも女にもわかりやすく説明できるんじゃないだろうか。
「あら、男の子が元気になった」
「うわっ!?」
「すごい……本当にこんなところが固くなってる」
 女としての性的興奮が男としての興奮も促したらしい。って待てや。
「今、動いた……びくんって」
 香里は北川の肉棒の反応を克明に観察しているようだ。何考えてるんだ?
「び、びくって……」
「美坂ぁ〜」
「えっ…? あっ、ご、ごめんなさい。今度は大丈夫。ちゃんとするから」
 北川が、刺激を堪えながら搾り出した情けない声での抗議に香里は我に帰るが、再び粘液の淫靡な音が聞こえてきた。行為その物は継続する模様。
「うわっ、救いようがねぇ」
 頭を抱えて言う俺。
『ちゃんと』というのは、どう『ちゃんと』するのか甚だしく気になる。
「ぅあ!? あ、あまり奥まで入れるな!」
「どうして?」
「あの、その、あんまり気持ちよくないし、こ、怖い……」
「ふうん、北川君も奥はあまり感じないんだ。だけど、怖いって、そんなんじゃタンポンなんて入れられないじゃない。北川君、生理もあるんでしょ?」
「だ、だからナプキンしか使ったことない……」
 女同士(?)で生々しい会話が繰り広げられる。
「あの……おちんちん邪魔になったりしないの?」
「……ちょっと。それにパンツも男物だからなんか具合悪くて……」
「だったら、やっぱりタンポンの方がいいわ。後で使いかた教えてあげるから」
 そうしろ、このままじゃあの時のような事故が再発するぞ。
 北川との連れションの後、あいつのズボンの裾からずり落ちた生理用ナプキンを見てしまい、それをきっかけに明かされた重い事実。
 重度の痔……だと思っていたのだが、北川が背負っていたものは俺の想像をはるかに上回っていた。
 告白されたときの事を思い出してるうちに、香里は更に行為をエスカレートさせたらしく、背後から聞こえてくる北川の嬌声や、畳の擦れる音や、粘液の立てるいやらしい音が大きくなる。
 色々と物凄い光景を想像してしまい、俺の息子はズボンの中で痛いくらいに張り詰めてくる。
「大佐、性欲を持て余す」
 ……違う、大佐って誰。
『ちゃんと』やってるらしいが、何をどうやってるんだ?
 と、そこで気付く。
 北川はああいう体、ああいう心なのだから、もう普通という価値観にこだわっても仕方なかったのだ。
 アレだって、男性器を女性器に挿入するというやり方にこだわらなければ、快楽や一体感や温もりを与える方法はいくらでもある。
 その事を体を張って示す香里は、様々な意味で凄いと思った。
 しばらくしてふたりは静かになる。
「お待たせ、相沢君。もうこっち向いていいわよ」
 香里はそう言うが、俺は相変わらず立てないため、座ったまま振り向く。
 そこでは、潤んだ怪しげな目で自らの指をねぶる香里の傍らで、横座りになった北川がぐったりしていた。


 北川は、息を荒くして突っ伏している。
 意識が朦朧としていて、つん、と乳首が隆起した乳房や、元気に屹立した肉棒を隠すことに考えが回らないらしい。
「ね、ねぇ、北川君、あたしとしてみない?」
 香里の問いに、俺と北川は唖然とする。
 あの、香里さん、もう十分にシませんでしたか?
 と思ったが、北川の肉棒がいきり立ったままである事を考えると、香里の行為は昂らせるだけ昂らせておいて放置するむごいものだったようだ。
 ということは、これから本番をするのだろうか。
 香里はスカートを下ろす。
 下半身は一糸纏わぬ状態だった。トイレから戻ってきた段階で既にノーパンだったようだ。
 香里は正面から北川に抱きつき、自ら後ろに倒れこんで北川に組み敷かれる体勢を取る。
 チラリと見えてしまった香里の股間は、エロ本や保健体育などで得た知識と同様に、普通の女性の構造になっていた。
 では、『あの、北川君……も、そういう体ってことは、ついてるの? アレ』と言った時の『も』という接続詞の意味はなんだったのだろう?
「きて、北川君。あたしを好きにしていいわ」
 そんな、あいきたりで淫らな台詞と共に、香里は動転している北川の唇を奪った。
 呆然としていたら、更に物凄い事を言う。
「嫌……じゃあ、ないわよね。北川君も辛いんじゃない?」
 悪戯っぽい笑み。香里の視線は北川の股間へと向かっていた。
 相変わらず元気に屹立したままの肉棒。その先にある香里の股間は、直上に位置する北川の女性の部分から滴り落ちたものか、自らが分泌したものかは不明だが、ぬらぬらとした粘液に濡れそぼっている。
「わ、わかった。美坂、本当にいいんだな?」
「ええ。相沢君はちょっと待っててね」
 そう言ってウインクする。
 俺と北川は、なんだか香里のペースに振り回されっぱなしだった。
「えっと、その、お、お前のも見せろよ」
 北川は少しでもリードしようとしたのか、上ずった声で香里に凄い要求をするが……
「あ、そうね。北川君のを見るばっかりじゃ不公平よね」
 そう言ってあっさりとシャツの前を開く。
 そういうことは北川にやらせてやるべきではないか、って、そういうことじゃなく香里、お前大胆すぎ。
 って、不公平と言うなら俺も脱いで見せにゃならんか。
 そう思い、ズボン脱ぎはじめたら……
「ところで、あたしのおっぱいを見てちょうだい。これをどう思う?」
 香里はそう言って、水色の下着を上にずらして見せる。
 ぷるんと揺れ、重力に引かれて胴体の両側に広がるふたつの膨らみ。
「「すごく……大きいです……」」
 北川とハモった。しかもなぜか敬語で。
 確かに北川のより大きいようだ。
「大きいのはいいから、このままじゃおさまりがつかないのよ」
 いや、大きさは重大な問題だと思いますが。
 そんな異論を口にする暇も与えず、香里は、ヒョイ! と自分の乳房を持ち上げ、上からぶら下がっている北川のそれと乳首を擦り合わせる。
「ぁあっ……!」
 体を支えるために両手がふさがっていた北川は、無防備になっていた胸に行われた不意の攻撃に、艶かしい声を漏らし上半身をのけぞらせ、反対に腰を突き出す形になった。
 肉棒が香里の股間に当たり、互いに身を震わせる。
「わ! だ、大丈夫か? 美坂」
「え、ええ、大丈夫よ。安心して」
 香里はそう言って腰を少し動かし、位置を調整した。
「わかった」
 北川はゆっくりと腰を下ろしてゆく。
 さっきの行為が香里の体も昂らせ、女性の部分を十分に濡れそぼらせていたのか、肉棒をスムーズに飲み込んでゆく。
「はあぁ……」
 香里は、期待と歓喜とわずかな恐怖の入り混じった切なげな声を漏らす。
 だが、それはある一点で止まり、香里は苦痛に満ちた呻き声と共に顔をしかめ、畳に爪を立てる。
 これまでの淫らな行動から、香里は既に経験済み……それどころか相当な経験値の持ち主だと思ったが、俺の勘違いだったようだ。
 積極的な行動を取って、香里なりに北川を元気付けようとしたのだろうか。
 俺はまだズボンを下ろしきってないまま香里のそばに寄り添い、がしっと手を掴んでやる。
 それを見た香里は健気に、コク、と頷いた。
「うくっ……が、頑張れ、美坂……」
 北川は肉棒に伝わる刺激を堪えながら、腰を下ろしていく。
 そして、事情を知らない者が見れば、何らかの器具を用いて女同士で繋がっているようにしか見えない淫靡な光景が目の前に広がった。
「んっ……はっ……あは、北川君の……入っ……ちゃった」
 香里は破瓜の痛みに顔をしかめ、苦しそうに浅い呼吸を繰り返しながらも笑顔で言った。
「たはは……オレの、ちゃんと男として使えるんだな」
 戸惑いながらも、それでも自信を持つことができたのか、北川は張りのある声で言う。
 絡み合うふたつの女体(にしか見えない光景)に、俺の欲望は抑えきれなくなった。
 でも、この体勢のままでは俺が北川に入れるのは無理だ。まずは香里との行為を終えて体力の回復を待った後、改めて抱いてやるべきだろう。
 と、そのときいいことを思いついた。
「香里、体は柔らかいか?」
「え? ええ、柔らかい方だと思うけど、どうしたの?」
「こうするんだ」
 北川の足元に立ち、M字型に開かれた香里の両足を掴む。
 そのとき、香里は黒のハイソックスを穿いたままであることに気付いた。男心くすぐるいいセンスしてるな。ってそうじゃなくて。
 ぐい、と一気に両足を持ち上げる、それに連動して香里の腰の角度も代わり、繋がったままである北川の腰も持ち上がる。
 体勢の変更と腰への刺激にふたりは戸惑っているが、お構いなしに香里の足を前に倒す。
「ほら、香里、足掴め」
「え……? あ、わかったわ」
 笑みを浮かべる。さすがは学年一位の女、俺の意図を瞬時に察してみせた。
 香里はこうして両足を掴み、まんぐり返しの体勢で北川をより深く受け入れると共に……
「ふふっ。北川君の女の子、相沢君に丸見えになってない?」
「あわわわわ!」
 ということだ。
「ほほー、こんな風になってるのか。北川のを香里が見事に咥え込んでるな。んでもって、ここ、ちょっと開いてきてるな」
 肉棒の根元をつついた後、糸を引き絞ったような小さなすぼまりの下にある、北川の濡れそぼった女性の部分を指でなぞり上げてみる。
 北川は身を強張らせ、繋がったままの香里にも不意の刺激をもたらし、ふたりとも嬌声を漏らした。
 今度は舐めてみる。塩気とかすかな苦味、そして酸味を感じた。
 汗の匂いに、かすかに甘いものが混ざったふたりの体臭が入り混じって鼻腔を刺激し、頭の回路がショートしてゆく。
 舌を割り入れてみた。指より詳細に弾力のある感触を感じられる。
 北川の腰が逃げるように前へ動こうとするが、一部を香里に咥え込まれてるためそれは叶わない。だから俺の攻撃を素直に受けるほかなくなる。
 更に舌を暴れさせる。その刺激に北川の体が跳ね上がった。
「うぅっ、相沢ぁ……」
 すすり泣くように震えた声。
「……ごめん、調子に乗りすぎた」
 涙目で恨めしそうに俺を睨む北川に謝罪する。恥ずかしすぎるよな、これは。
「もう、やりすぎよ相沢君。あたしだってそうしたいの我慢してたんだから」
「……え?」
「あの、香里しゃん?」
「え? あ、そのあの、あはは……」
 気まずそうに笑ってごまかした後、こう言った。
「ふふ、考えたわね、この体勢なら一緒にできるわ。ね? 北川君」
「……え!? い、一緒って」
「お、俺、もう我慢できない。いいか? 北川」
 体の昂りを抑えきれず、北川の腰を両手で掴む。
 掌に震えを感じた。
 頭に充満した熱気が少し引く。
 初めてなんだから不安になって当然だ。まして、北川のは……
 見た感じでは、北川の女性の部分は、今こうして肉棒を咥え込んでいる香里のと同じように見える。
 だが、はたして行為に耐えられるのか。
 逡巡している俺と怯える北川を交互に見た香里は、優しい笑みを浮かべる。
「大丈夫よ。さっき北川君の女の子を調べたら、奥行きとか広がり具合とか、あたしのと同じくらいだったの。あたしが北川君のをこうして受け入れることできたんだから、北川君もきっと、女の子の部分で相沢君とひとつになれるわ」
 なるほど、さっきの行為は前戯ではなく、あくまでも『触診』だったのか。
 トイレで自分のを改めて調査した後、さっきの行為で北川のと比較を試みたわけだ。
 戻ってきたときの香里の状態も頷ける……って待てや。
「か、香里、何考えてるんだ?」
「何って、できるかどうか調べたんじゃない」
 憮然とした顔で言う。
 なるほど、ナニについて真剣に考えてたんですね、ハイハイ……っておい。
「お、オレは、その、あの」
 俺と同様に動転している北川。
 全く、なんつー方法だ。
 でも医者に、下手すりゃモルモット扱いで弄り回されるくらいなら、好きな人に触られる方がずっといいよな。
「初めは純粋に比較するだけのつもりだったんだけど、北川君の反応が可愛くって、つい調子に乗っちゃって、あたしも体が火照ってきちゃって……」
 赤面する香里。
 乳房を俺たちに見せ付けたとき、聞きたかったのは大きさの感想ではなく、すっかり隆起した乳首、つまり戦闘体勢になってしまった自分の体について聞いてきたのだろう。
「お前のここも、香里と同じ状態だな。どうする?」
「北川君、後はあなた次第よ」
 後ろから覗き込むようにした俺と、優しく見守る香里の顔を交互に見た北川は……
「……頼む。相沢の……欲しい」
 不安を堪えるようにきゅっと目を瞑り、上体をかがめて乳房を香里と密着させる。そして背を反らし、香里と繋がったまま、くい、と尻を突き出してきた。
「よくできました」
 香里は慈愛に満ちた笑顔で北川を抱きしめる。
「いくぞ」
 俺は北川の腰を改めて掴み、肉棒を女性の部分にあてがう。
 北川はそれだけで、ひくん、と体をのけぞらせた。
 それから北川は香里の両肩をがっしと掴み、迫りくる痛みに備える。
「北川君、ゆっくりと息吐いててね、そうすると体が緩むからあまり痛くないわ。逆に息吸ってたら締まって痛いから気をつけて」
 経験者ならではのアドバイスをし、北川はそれに従いゆっくりと呼吸を始める。
 香里の言う通り呼吸に合わせて収縮する女性の部分に、俺は押し込んだ。
 先ほど舌で探った、温かく、柔らかく、潤った北川の体内。それに俺の肉棒が包まれ、絡んでくる。だが、すぐに押し返された。
「ぁ、うぐっ……」
 やはり北川も痛むのか苦しそうに唸る。
「ほら、頑張って」
 香里だってまだ痛いだろうに、懸命に北川を励ました。
 俺は更に押し込む、いや、狭い中に無理矢理ねじ込んでゆく。
「ぅ、あ、ぐ……」
 進入を拒むように内部が収縮する。
 何かが破れるような感覚。処女膜って奴だろうか? 北川にも存在したようだ。
「北川……頑張れ」
「うぅっ……」
「ほら、もう少し」
 ぐぐっ
 俺と北川の腰が完全に密着する。体内を満たしていた粘液が溢れ、腰を濡らした。それと共に、俺の先端が何か壁のようなものに当たる。
 俺と北川は、完全に繋がっていた。
 香里はご褒美でも与えるように、あまりの痛みに言葉を発することができない北川の頭をずっと撫でていた。
 北川は痛みを逃がそうとしているのか、はっ……はっ……と短く息を吐いている。
 後ろから覗き込む。そこに見える苦痛に満ちた表情に、俺は罪悪感を感じた。
 そのとき、悪戯っぽい笑みを浮かべた香里が自分の乳房を掴んで揺する。
「ぅあっ……!」
 乳首が擦れ合って、その不意の刺激に北川は身をよじった。
「相沢君も北川君のおっぱい可愛がってあげて。女の子の部分は他の刺激で痛みが紛れるみたいだから」
「そ、そういうもんか? それなら……」
 バランスを崩さないよう気をつけながら、ふたりの乳房の間に手を差し込み、揉んだり乳首をよじってみる。
「うぁ……ふっ……はぁ……」
 香里の言う通りなのか、北川の息の吐き方が苦痛に満ちたものから切なげなものに変わった。
 温かく豊かな乳房。北川の苦痛を和らげるなんて目的はあっさりと吹っ飛び、いつまでも揉みしだきたくなる。
 色々と変化をつけながら続けていたら、北川はどうにか余裕ができたらしく、ゆっくりと口を開く。
「んくっ……美坂、ごめん。こんなに……痛かったんだな」
 俺にはわからない痛み。香里と同じ器官を持つ北川だからこそわかる痛み。
 同じ痛みを与えると共に味わう事もできてしまう北川なら、どちらの気持ちもわかるのだろう。
 だが、北川の心底すまなそうな謝罪の言葉を聞いてもなお、香里の慈愛に満ちた笑みは変わらない。
「うん、痛いわ。だけど、大好きな人だから……ね? 北川君はどう?」
 北川が耳まで赤くなるのが見えた。
 それを見て香里はクスクスと笑う。敵わないな、香里には。
 そんなふたりを見ていると胸に温かいものが広がる。だが、それと同時に、熱病に浮かされたような感覚が頭に広がり、抑え切れなくなる。
 もう我慢できなくなり、俺は腰を動かし始めた。
 押し込むと北川の体は抵抗するように締まる。それでも掻き分けて奥まで入れる。腰を引くと、今度は逃すまいと拘束するように肉壁が俺のに絡みつく。
 香里が北川に唇を重ねると、舌の吸い付く音と共に北川の内部も脈打つ。
 男と女、双方の感覚に翻弄される北川は、刺激に耐えるのが精一杯で自発的に腰を動かす余裕などないらしく、俺にされるがままになっていた。
 俺の腰の動きにあわせて、ふたりの嬌声が響く。
 北川の体を介して、俺が香里を突いている錯覚に陥った。
「ふはぁ……」
「ふぅっ……」
 息継ぎで唇を離したふたりは、互いを性の対象として爛々とした目で見つめ合っていた。もはや、お互いの性がどうであるのかなど気にならないようだ。
 それは俺も同様だった。俺の肉棒の猛りは到底収まりそうにない。
 再び唇を貪りだすふたりを見て俺もそうしたくなるが、この体勢でそれは叶わない。
 俺は仕方なく北川の首筋からうなじにかけて唇を這わす。
 その刺激に北川は体をのけぞらせた。
 それと共に、なぜか体を後ろに下げて俺に尻を突き出すようになる。
 奥はあまり感じないし怖いと言っていたから、そこはあまり突き上げないように気をつけ、入り口のあたりを重点的に攻めてやる。
「うぅ……相沢ぁ」
 北川は俺の顔を見て、切なげな声で言う。何だ? 何を求めている?
 もぞ、と北川の腰が動く。だが、一端を香里に咥え込まれているため自由には動かせない。
「何だ? どうした」
 だが、北川は口ごもるばかりだった。
「えっと、奥の方まで入れて欲しいんじゃないかしら?」
 香里の指摘に、北川はまたも耳まで一気に赤面する。
「え? 奥は嫌だったんじゃないのか?」
「そ、それは、その……」
「あのね、あたしも奥はあまり感じなかったんだけど、北川君のが奥まで入ってきて、同時にお豆さんが擦れたら凄く感じたの。北川君も、おちんちんの刺激と同時だと奥の方も気持ちいいんじゃない?」
 香里の言う通りだったのか北川はコクンと頷く。
 そこで、要望どおり奥の方まで突き上げてみる。
 香里の言う通りらしく、北川は奥の壁に当たると激しく体を震わせ、嬌声を上げていた。
 しばらく続けていたら、北川は切羽詰まった声で言った。
「ぁ……お、オレ、なにか、来た。出そうだし……その、あの」
 男としての絶頂だけではなく、女性としての絶頂も迫っているようだ。
「あ、あたしも、そろそろ」
 香里も限界に近づいてきたのか上ずった声を出す。
「……あ、オレ、避妊……してない」
 さすがに、いきなりこんな展開になるとは思ってなかったから当然である。
 そしたら香里は、とんでもないことを口走った。
「妊娠、させて」
 その言葉に北川の体内が収縮した。俺の背筋にはぞくりとしたものが走る。
「あ、相沢、オレも……」
 頭の何かが切れた。
 もう腰の動きに歯止めがきかなくなる。
 かすかにバランスが崩れて結合の角度が変わり、不意に変化した刺激にふたりは体を跳ね上げた。
 三人とも体の昂りに歓喜し、それと共に不安になり、唇を合わせてそれを紛らわす。
「ほら、北川君、頑張って。三人で一緒に……ね」
「うくっ……わ、わかった」
 絶頂を堪えようとしているのか、北川が苦悶の呻き声を漏らす
 荒波に翻弄されて板切れに掴まる漂流者のように、北川はがっしと香里にしがみつき、刺激の奔流に耐えていた。
 突き上げるたびに北川は苦しそうな呻き声を上げ、それと共に肉壁が俺を締め上げる
「うっ……!」
「ん……ぁ、北川君の……熱……い」
 北川の苦悶の声と共に香里の恍惚とした声。それが俺の背筋にぞわりとした震えをもたらし、それは股間へと向かう。
 そして俺の肉棒は北川の体内で爆ぜた。
 北川の女性の部分が激しく痙攣した。俺の生命力の全てを搾り取るように締め付けてくる。
 そんな中に俺の体液が迸ってゆく。
「あ……相沢のが」
「き、北川、北川っ……」
 不意に北川の体から力が抜け、俺はバランスを崩して横に倒れる。それに連動して三人の結合は解けた。
 俺の右手は倒れた北川の下敷きになっている。
 しばらく荒い息を続けていたら……
「あは、北川君、気絶しちゃった」
 香里の楽しそうな声。
 俺に背中を向けていた北川の体を引くと、ころんとこちらに転がった。
 四肢をだらしなく広げ、ふは、ふは、と短い呼吸を繰り返す北川の目は閉じられ、時おり体がひくん、と痙攣している。
 北川の股間に目をやると、しぼみつつある肉棒の下にある女性の部分から、俺が放った白濁液と北川の血と愛液が入り混じった粘液がこぼれ出ていた。
 香里の股間からも同様に、紅いものが混じった白濁液が少し流れ出て、太ももに垂れていた。北川も射精する事ができたようだ。
 ちゃんと男としても女としても北川の体は機能しているらしい。
「……もう! 観察しないでよ!」
 香里はふくれっ面でそう言い、手を動かす。だが、自分の股間を隠すのではなく、俺に向けて伸ばし笑顔を浮かべた。
 俺も笑顔で手を伸ばし、北川の体の上でがっし、と掴み合い、達成感をかみ締めていた。
「幸せそうな顔してるな」
 満ち足りた表情で虚脱している北川を見つめ、そして顔を近づける。
「きたが……」
 と、そこで一旦咳払いして言い直す。
「……潤」
 そして、ようやく俺も、北川と唇を重ねることができた。
 ちっとも嫌悪感など感じない。はたして俺は北川を異性として見ているのか、同性として見ているのか、よくわからなかった。でも、ただひたすらにいとおしい。
「んふ……」
 北川の目がゆっくりと開き、細目になって俺の背中に手を回す。そして舌を絡めてきた。
 それに素直に答えてやる。
 しばらく押さえつけたり吸い上げたり角度を変えたりしていたが、とろんとした北川の目に不意に光が戻り、ハッと見開く。
「わ! わわわ!」
 絶頂の余韻で恍惚としていて、素直に俺の唇と舌を受け入れていたが、正気に戻ったら羞恥心が一気にこみ上げてきたらしく、狼狽して飛びのいた。
 俺の顔をまともに見られなくなったのか、反対側を向く。
 だが、その先では香里が、小悪魔的な笑みを浮かべていた。
「ふふっ、王子様のキスでお目覚めね、北川君」
 王子様なんだかお姫様なんだかわかりかねる北川は、その言葉に頭を抱えてうつぶせになり、真っ赤になって唸っていた。
 その様を見て香里はクスクスと笑う。
 やっぱり敵わないな、香里には。
 小休止して冷静になると、とんでもないことをしてしまった事に気づく。
「……つい、流されるまま生でしてしまったけど、大丈夫かな?」
 目をそらしてはいけない問いだ。
 避妊をしていなかった。普通の男女でも、これは重大な問題だ。まして、北川の体は……
「そうね。今のであたしや北川君が妊娠したら、生まれてくる子には北川君のこと、どう呼ばせればいいのかしら?」
 母親にも、父親にもなれる可能性を持った北川を見て香里は首を傾げる。
 頭痛がしてきた。お前や北川が妊娠する事その物は問題ないのだろうか。
 というか、この年で親になる事や、北川の生殖能力についての危惧はないのか? 実も蓋もない話だが、北川に種はあるのか? そして妊娠に耐えられるのか?
 香里のぶっ飛んだ思考に呆れもしたが、妊娠しなかったら御の字だし、できたらできたで、それは奇跡だ。喜ぶべきことなのだ。
 慈愛に満ちた笑みを浮かべ、相変わらず頭を抱えて恥辱に唸る北川の背中を撫でる香里を見てると、どんな困難も乗り越えていけそうに思える。
「小学校上がって家族について作文書かされた日にゃ、相当ややこしい事になりそうだな」
 ある意味、人間の本質にも迫る問題ではありながら、何ともコミカルな問いに俺たちは笑いあった。
 そして、しばらくして落ち着きを取り戻した香里がぽつりと呟く。
「北川君もこういう体で、あたしが受け入れる事ができたのも、何かの運命かしら」
 怪訝な顔をした俺たちに、身を起こした香里は真剣な顔で言う。
「ねえ、是非とも栞に、あたしの妹に会ってやってくれない?」